金正恩氏、第2回米朝首脳会談を要請 トランプ大統領に書簡

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前提条件として、朝鮮半島から米軍を撤退させたい一番の享受者は中国であって、北朝鮮ではない。北朝鮮が単独で対抗するには、米軍は巨大すぎて、半島に基地があろうがなかろうが大差はない。

 

基地の有無が問題になるのは当然ながら平和時であって、それに対してどれだけケアをしなければならないかは、国防の負担から見ると極めて大きい。その経済的負担によって最終的にソビエト連邦は倒れた。

 

中国は現在 The Belt and Road Initiative 構想によって海と陸の両面からアフリカへと続く巨大な経済圏を確立しようとしている。それはインドへの牽制とアフリカとの直接的な経済圏、もちろん、ヨーロッパの利権排除までを目論むグローバル構想である。

 

この一帯一路構想から、海によって見事に朝鮮半島、日本列島、そしてアメリカ大陸は分離されている。どうやら22世紀の中心はアフリカになるらしい。そのための布石が着々と打たれ続けているという話だ。

 

人口100億人を賄うだけの農業生産力が地球という星にあるかは知らない。どこかに上限はあるはずでその時に飢えるのがどの地域になるか。サイコロを振ればどれかが当たるような話であって、この新しい構想に対して、旧先進国 paleo developed country に決定打はない。

 

ひとつには様々な混乱に対して最初に反応したことが足枷になっている。中東の混乱と移民の発生に対して受け入れを決めた事が彼らの政治的基盤を崩壊させつつある。ナチス系政党が支持率を上昇させるのを旧体制は抑える事ができない。それが国民の選択ならば仕方がない。

 

戦後に確立させた人道という言葉ほど脆いものはなかった。何故ならそれは強者の論理であって、強者が弱者に転落した時の behavior までを規定していないからだ。

 

このような長期的な野心を持つ中国も堅牢な政治制度ではなく、言論の抑制はどこかで必ず頭打ちな状況を生み出す。ソビエトが如何に科学技術に優れていたとしても最終的に勝者になれなかったのはそれが理由と考えられているからだ。

 

だが、アメリカも赤狩りなど荒っぽい言論弾圧を行っていた。よって抑圧が問題ではない。それが常態化しないこと、過去に対する揺り戻しが起き、復元力を持っていること。これが国家の源泉ではないか。

 

そこで考えるべきは、中国の国家理念は本当に共産主義なのか、あれは共産主義の顔をした新しい王政ではないか、という気がしないでもない。王政にも様々な欠陥もあるが、少なくとも打ち立てられた直後の新しい王政は大抵がよい政治を施す(秦の例外もあるが)。

 

王政は経年劣化に対しては易姓革命によって対処する。それによって民主主義が登場するまで長くアジアの平和を保ち続けた。それもまた新陳代謝のある仕組みであった。ただし現在の科学技術に裏付けられた強力な軍隊、ネットワークの発展した監視体制では革命はもう起きないだろう。

 

すると、王制は長期化し腐敗するのは明らかであるから、攻めようはあるはずである。勿論、すぐに腐敗するとは1年、2年ではなく、50年、100年の話だ。

 

しかし直近はトランプに差し迫った11月の中間選挙であろう。この選挙の結果に向けて、世界中が動いている状況があって、この結果によって、何かが変わると誰もが思っている。アメリカの行動原理のすべてがこの選挙にあるといってもよく、トランプの個人的な思惑もそこにあるし、それをアメリカの総意と言っても差し支えあるまい。

 

To November が現在の状況を理解する重要な factor であるが、この極めて率直で正直な大統領の考えは、ほぼ twitter で語っている事から理解できる。そんなトランプでも、明白に語っていないものがある。それが明日の話だ。

 

彼は逐次応答型の反応をする人であるから、常に明日の決断は今日するみたいな所がある。だからどれだけ彼の言動に注意しても明日どう動くかは分からない。

 

しかし、彼の行動にはひとつの原理があって、彼はどちらからといえば、短期的な利潤を最大にしようとする傾向が強い。悪い言い方をすれば目先の利益に飛びつく、良い言い方をすれば機を見るに敏な人である。

 

そして、もしかしたらアメリカは既に主役ではないのかも知れないという事まで考慮する必要がある。これはトランプ自身のアメリカ観でもある。彼は世界の警察からアメリカは撤退すると明言している。

 

北朝鮮が会談を求めたのはアメリカにとっても好ましい話であって、平和裏に解決を進めるのに、8月では早すぎる、11月では遅すぎる。いま始めればその成果は10月末には出るだろう。株主にとっては最高のタイミングである。

 

と深読みすると北朝鮮は思ったよりもアメリカの意図を汲み取っているという話になる。それは友好の証左としてもよい。

 

一方で核の放棄には、戦略型潜水艦の製造状況を watch していれば明白なのである。何を語ろうが建造が進んでいる限りは手放す気がないという証拠になる。

 

中国からすれば朝鮮戦争終戦に至りアメリカが朝鮮半島にいる理由がなくなることが肝要であって、この当面の目標のためならどのような手段でも使うであろう。

 

緊張させた後に緩和する、good cop, bad cop でも有名な手法であるから、当然政治でも頻繁に登場する。

 

そういう手段に載せられて和平を願ったり、戦争を心配してはいけない。コントロール下にある限りは大丈夫だ。問題は偶発的なエスカレーションにある、と WWI は教えてくれている。

 

世界中が11月に注目している。世界中がその時に向けて思惑を持ちながら歩みを進めている。そんなこと、みんな知っているね。