中国公船4隻が領海侵入=今年3回目―沖縄・尖閣沖

はて、中国の要求は何であろうかと考えてみる。

ひとつに先の大戦の敗北は貴重な教訓であって、それと同じ状況を作ることができれば、自発的に倒れてくれるというのは基本戦略としてあるだろう。

かつての日本はその明治維新の早い時期からロシアがやばいという事に気が付いていた。それに対する準備が日露戦争の勝利となって結実するのであるが、その勝利をもってしてもロシアの脅威を完全に払拭できたわけではなかった事は注目に値する。

時代は兵器の大発展時代であり数年で旧式どころか、その装備が全く役に立たなくなるような状況にあって、陸海軍の実力は、装備と物量の前で、日露戦争前よりも優位になったとは言えない状況であった。

それが結局は満州国の成立を生み出すのであろうし(実際のところは知らないが)、日中戦争の泥沼もその流れの中にある。つまり橋頭保を国外に持ちたいというのが日本の戦略だったわけである。

しかし、ここで注目すべきはロシアの脅威に対して、あくまで日本は単独で対応しようとしていた点だろうと思う。この単独という見方は、結局は孤立化を深めてゆく。

ヨーロッパやアメリカのやり方は、札束で頬を打ち付けてでも自分たちの仲間を作れというものであったが、そういう戦略は日本にはなかった。孤立化するなかで、もっとも小さな集団と手を組んだのである。それもユーラシアの反対側の。

その戦略を壮大な挟撃作戦と呼んでも差支えないかも知れないが、ちょっと夢見すぎであったろう。逆に言えば、反対側に至るまで、どことも友好を作れなかったということになる。

中国大陸に介して言えば、世界中の列強が狙っていたわけであって、アメリカと手を携えて制覇しておけばよかったと思うのである。ロシアの進撃に対抗するためには、欧米列強を中国に招き入れ、そこで仲良く橋頭保を確立すればよかったのではないか。

もちろんこの歴史のifはその後の未来像が描き切れなくて、どうなっていたかなどわからない。かえって、その方が根本から亡国していた可能性も捨てきれないのである。

しかし、どうやら日本は外交的に下手で友好国を作りにくいという性質は、中国からすれば使えるのである。そのためには、ロシアの脅威の変わりを中国自身が担えばよい。

なぜ恐怖によって孤立化させればいいかと言えば、結局のところ、沖縄の米軍が邪魔なのであろうと思われる。これを追い出すためにはどうすればよいか、が思案のしどころであろう。

日米の強固な関係にひびを入れる、沖縄の民意を煽る、アメリカの経済力を失墜させる、台湾を併合し、沖縄駐留の根本的な意味を失わせるなどなど、取りうる戦術はいろいろありそうなものである。

もちろん日本としては沖縄県民が争っている間は良いのであって、重要なことは一枚岩にならないことであり、行ったり来たりを繰り返して、時間を稼ぐことが望ましいであろう。いずれ地政学的、技術的、戦略的転換が、沖縄の基地を無用のものとするであろう。それが可能となる状況を推察するのもまた面白い話だろう。

そのうちもっともよろしいのは、中米同盟を組むことであるが、それはまぁ対抗となる勢力がないので(宇宙人侵攻でもない限り)、夢物語チックかもしれない。

いずれにしろ、中国という驚異に対して、次第に日本人がヒステリーを起こすことを狙っており、より切迫したときに、アメリカが躊躇しているにも関わらず、日本が強権的になることを狙うのが孤立化の早道のようだ。

そのためには、アメリカ同盟、もはや不要という所まで軍備を増強させるのが良いわけである。ここは米ソの軍拡競争のようなチキンレース的な装いも見せるであるが、そこはほれ、国家予算の大部分を福祉に取られている日本と、貧乏人、貧困、それは豚の餌になるのかえ、と言っていられる(現在はまだ)中国とであるならば、中国に有利な状況であろう。

そういう状況において日本の政府はよく対応しているとは思う。だから問題は世論なのである。政府が無視できないくらいに世論が炎上する方がずっとやばい。その一点をあおるように中国も行動するはずである。

と考えてゆけば、孤立化することの恐怖を知るべきであるが、では、我々は海外との軍事同盟であれ、何等かの友好国どうしの付き合いというものを経験しているかと言えば、きわめて少ない。

それはAKBのハピネスこと佐々木優佳里くらいには友達がいないのである。唯一の友達がアメリカだけってのが偽らざる状況ではあるまいか。