豊洲地下水分析 9回で約65億円

いや、これはあり得ないと思う。これで調査した会社が小池百合子の関係者だったら笑う。

 

9回の調査に9社で81回の支払いがあったとする。均等割りで65億円、一回あたり8000万円の支払い。これは高すぎると思う。水質調査にこれだけ費用が必要だとしたら日本のアセスメントなんて、数兆単位の費用がかかるはずだ。そうでなければ、ざるみたいな検査しかできないという事になる。

 

豊洲移転の工事費が3926億円だそうなので(実際は6000億まで膨らんでいるそうだが)、水質調査だけで1%の予算を使っている事になる。

 

こういう調査をするために都は大学を持っているのだと思うし、そういう専門分野を安く使う方法は他にもあると思うのだが、この辺りの詳しい経緯は分からない。知らない。

 

それでも一般的な常識(もちろん、水質調査の常識など持ち合わせていないが)で考えても高過ぎると思う。これが全部で6億であっても高いと思う。

 

費用の内訳を見ていないし、調べるてもいないから、この先は空想物語として聞いて欲しいんだけど、この金額について内訳を突っ込まないで記事にする新聞社も新聞社だ。ダメさ加減としては、ちょっと頭がくらくらしそうなレベルである。

 

なぜこの国の諸経費はこれほどまでに高騰してしまったのだろうか。幾ら税金を取っても追いつかないはずだ。財務省に同情を禁じ得ない。何故こうなっているのか。こうなってしまったのか。

 

どこかの業突く張りが儲けようとぼったくっているのだとしても高過ぎる。そういう集団を徹底的に糾弾して吊るせばそれで解決する問題とも思えない。この費用が、実際に誠実に諸費用を積み上げた結果だとしたらどうだろう。

 

どう積算してもこの程度の費用になるのだとしたら、これは構造的にどうしようもないという話になる。その積み上げ方のひとつひとつを詳細に検討していっても恐らく手立てはない、という事になる。

 

以前、民主党が政権を取った時に期待したほどのコストカットは実現できなかった、もちろん、無駄な予算はあったし、それをひとつひとつ精査してゆく態度は尊重されるべきだ。それでも、全体としてもぼったくりは少なかったし、無駄とされる事業もそう多くはなかった。少なくとも国の財政が根本的に改善されるだけの効果は得られなかった。

 

自民党政権に変わって、お金の使い方の荒さは元に戻ったわけだが、全体の流れとして、ではどう食い止めるか、という事については決定打がない。財再再建は拉致被害の解決と同様の政治公約である。

 

維持にコストがかかるというのは、要は恐竜みたいなもので、たくさん食べないと生命を維持できないという話である。当然ながら冬の到来には弱い。

 

多くの生命が効率的なエネルギー消費を目指してきたのも、それが生き残りに有利だからだ。像だの麒麟は体格を大きくすることで生存してきた種であるから、全体量の大小の問題ではない。それでも効率化は進化上の正義だ。

 

というわけで、もしこれが妥当な金額だとしたら、もう日本は誰かが一歩足を進めるだけでも数千円のコストを必要とする国家になったのかも知れない。

 

コストが高いとは動きに重石が付いているのと同値だから、つまり機敏に動くとか、臨機応変な行動も取れないと言う事である。

 

隣国のアメリカでは、トランプが結構激しい動きを見せている。それを「巧遅は拙速に如かず」と見做すのか、徳川家康の「いそぐべからず」の反語と見るのか、そこは人ぞれぞれであろうが、偉大な社会実験場アメリカはこうして{中興|没落}する。いずれにしろ、これがアメリカのやり方 American way である。

 

これまで誰もが目を背けてきた課題に対して、正面切って議論する切っ掛けになっている。これはアメリカにとっていいことだ。どんな取り上げ方であれ、問題を正視しようとする態度なのだから。どう転んでも、その議論の行き付く先にはアメリカを利する結果しかない。

 

我々はトランプの横暴さに驚く前に、あれ程の国家が斯くも身軽であることに驚嘆すべきだ。