のぞみ車両 旧型、亀裂検知できず 新型はシステム搭載

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新幹線には常に改変を続けていた事に感動する。N700A なら同じインシデントでも違った対応が取れていたであろうという話である。

 

異常を検出するセンサーを搭載し、アラームを通知する。そういう仕組みがどういう事を意味するかと言えば、異常を検知したときの行動が、組織全体でマニュアル化されているという事である。

 

アラームが上がったら、こうする。他の車両への影響は、こうやって対応する。それがすべてマニュアル化されている。これが専用装置を搭載した事の意味だ。

 

逆にいえば、N700系では、異常検知がマニュアル化されていなかったという事になる。異常音といっても、指令員がその音を聞けるのでも、映像で見れるわけでもない。お互いに状況を完全に伝えるのなど不可能だ。

 

現場の保守員だって、新幹線を停止させ他のダイヤも巻き込んだ大幅に遅延を起こす決断ができるはずもない。

 

全体はなるべく穏便に運行を続けたいだろうから、不可解な状況の時にも、なるべくその方向に流れるのは自然だ。これを防止するためにはマニュアル化するしかない。

 

だが、マニュアル化とは数値化するという事だ。異常を感じたら、程度の記述ではマニュアルにならないのである。

 

人間の感覚はセンサーよりも遥かに優れたものであるが、欠点もある。他の人と共有できないという点だ。機械のセンサーは共有できる。赤いランプがつけば、だれにとっても赤いランプ点灯である。

 

ならば異常音もxデシベルでy分連続すれば、などの共有できる数値化が必要であって、そうすればマニュアル化できる。マニュアル化すれば、どのような人でも、新幹線全体を止める事さえ可能になる。

 

それを個々人の判断に任せるのは無理だ。それは教育であったり、訓練によってある程度は可能になるだろうが、軍隊でさえ完全に実現はできまい。新幹線の運用をおいておや。

 

 

新幹線は優れたシステムである、それ以上に、係わっている人たちが人間を信じていない、という点はもっと注目されてもいいかも知れない。そして、人間を信じないからこそ、センサーを取り付け、マニュアル化する。なるべく人間の判断を排除しようとする。

 

そしてこれが最も肝要な事だと思うのだが、その上で最後は人間に託すのである。どのようなマニュアルも最後は人間に託し、それで初めて完成する。

 

新幹線とはそういうシステムである。