普天間の小学校上空ヘリ飛行、米側認めず 防衛相は批判

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米軍の歴史に詳しいわけではない。第一次大戦まではイギリスが世界の頂点にあって、米軍は開発途上の軍隊であったと読んだ事がある。

 

決定的なのはWW2であって、ここで米軍は世界を圧倒する軍事力を得る。基本的に勝利した軍隊というものは、古い体質のまま次第に劣化するものだが、冷戦構造があったお陰か、アメリカの気質からなのか、それから50年近く、最高の軍隊であることを維持し続けた。

 

という訳で、冷戦の終わりは米軍の分岐点となる可能性がある。今でも米軍が世界のトップであるのは間違いないが、ここ最近の沖縄での事故は、ちょっとお粗末すぎる気がする。詳しい人から見たら、そんなことはないよ、米軍は昔っからあんなもんだよ、と言われるかも知れない。

 

それでも駆逐艦の衝突事故が立て続けに起きた事、部品の落下、ヘリコプターの緊急着陸と、運用上の問題が起きている。艦船の衝突は海上自衛隊でも起こしている。2014年にはF-15の風防が飛行中に飛んで行ってしまった。航空自衛隊でも5年間で部品落下117件を起こしている。

 

それが何に起因するのか、人材の不足なのかと懸念する。その原因が予算の削減であったりするのだろうか。

 

それでも『「小学校上空を飛行した事実はない」と説明』というのが、原文を知らないとはいえ、聞かれて3分で反証できる類のもので、え、中学生でも賢い子ならもう少しまともな返答するよ、レベルである。

 

これには二つの解釈しか説明できないものがある。つまり、人材の劣化か、または、なめ切っているのふたつである。

 

米軍の世界戦略にとって海外の基地は重要であるから、相手国との関係は重要である。それを認めるならば、相手国をなめ切った態度は、極力取るべきではない。それをするなら広義では、人材の劣化とも言える。

 

一方でトランプ政権は米軍の世界戦略を大きく転換しようとしている。そのひとつが基地の整理というのがあるかも知れない。どうこう言っても米軍の世界戦略は、米国の外交戦略そのものである。そして沖縄基地の問題とは、すなわち、中国(台湾)の問題だ。

 

台湾から手を引くなら、沖縄基地の重要性は変わってくる。東アジアから東南アジアへの戦略シフトとは、台湾の防衛から、中国の外征艦隊への牽制、一帯一路への対応である。

 

一帯一路の直近のターゲットにインドがあるのは間違いなく、あれはユーラシア大陸に引いたインド包囲網である。それに対して、現在はグアム、オーストラリア、ハワイ、日本が中心となっている構造を見直すかも知れない。

 

米軍が東アジアから他を重点地域にするならば、当然、沖縄基地の価値は薄まる。そして軍隊の強弱は相対的なものだから、中国、ロシアの台頭は、もちろん、米軍を弱体化している。

 

ここ最近の沖縄での出来事は、米軍の整備力の低下と思われる。それが、実は妥当な数値なのか、それとも人員数整理や、人材育成の低下から起きた事なのか、知らない。

 

それでも、ここまで現場レベルでの問題だから、たまたまの可能性もある。また改善できるレベルの問題でもある。

 

一方で、この上層部のコメントは、根が深い問題と考える。

 

ここにどういう思惑があるのだろうか。と訝るのは当然である。強い軍隊が駐留するのに依存はないが、役に立たない軍隊を駐留するくらいなら、別の方策を考えるほうがよい。もし、米軍にやる気がないなら、撤退してもいいよ、とはもちろん言えないのである。米軍の劣化は日本の外交にとっても重要事項になるのである。

 

日本の自衛隊は米軍とのバディで能力を発揮するように設計されてきたので、米軍なしでの存在は考えられない。戦略性からして訓練が足りないし、それを支える情報収集も、そして装備、人材、予算もである。それらが不足しているのは自衛隊ではない。外務省そのものが力不足である。

 

一体、米軍に何が起きているのか。これは、面白い話だと思う。