子グマを襲うトラと母グマの死闘 無事追い払うことができた母グマの勇姿に感動

nlab.itmedia.co.jp

 

サーベルタイガーと呼ばれる更新世まで栄えたネコ科の捕食者は、その大きな牙から中二病的である。

 

巨大な牙を持つことは、見た目がかっこよい。その牙を使って巨大な動物の動脈を切り裂くことで狩猟を行うタイプだったようだ。見た目は派手だし、狩りの場面では血がシューシューと吹き出すような感じだったと思われる。

 

現在のトラやライオンは、狩りの基本は相手の首元に噛みつき窒息させるタイプである。窒息させるまで時間が掛かるが、牙は小さくてもよい。そうなるように進化してきた。

 

牙の大きさは、能力的には機動性を損ない、破損などのトラブルにも脆弱である。牙が折れた個体は狩りができなくなって飢え死にする運命が待っている。これらの種がどうして絶滅したかは知らないが、進化の過程で淘汰された。

 

このあたり、食事に関しては草食動物は肉食動物よりも強靭である。ケガをすることが飢えに直結しない。けがをした個体は、捕食者から狙われやすくなるし、逃げにくくなるから生き残る可能性は小さくなるとは言えども肉食動物のそれよりは小さい。

 

狩りをする肉食獣は若い個体は別にすれば基本的に慎重になるはずなのだ。ケガを恐れるし、危険からは極力遠ざかろうとする。それでも反抗するのはよほど守るべきものがある場合だけであろう。その意味では草食動物や雑食性のほうが狂暴になりやすいはずだ。

 

肉食動物の狩りは安全かつ素早くが基本と思われる。

 

そのため。これだけ強い反抗に合う場合は、引くのは肉食獣の方だろう。そこまでの反撃を許した個体が悪いわけである。そう考えると、この虎は若い個体かもしれないし、年老いて飢えた虎かも知れない。くずくずと諦めきれないわけだが、結局、引くべき状況というのは妥当と思える。

 

熊にとってこれは良い出来事だが、虎にとってこれは悪い出来事である。この虎にも養うべき子がいたかも知れない。いずれにしろ、自然は寡黙なのである。