世界の問題は大雑把に言えば次の4つであろうか。
- 主にヨーロッパの難民(その他にも難民問題はある)
- 中東の複合的な紛争(シリア、イスラエル、イエメン、イラン、IS)
- ロシアの孤立
- 中国の平和的世界進出
トランプは各国と対立を作り出している。中国との関税ゲーム、ヨーロッパへの恫喝、イランの核疑惑、そして次はトルコである。彼のポリティクゲームがもっか11月に行われる中間選挙をターゲットとしているのは疑いようがない。これを基本スタンスとしてもそう間違ってはいないだろう。
だから11月の結果によって彼の行動原理は変わるはずである、というのが世界中の共通認識だと思う。
一方でトランプは面と向かって各国要人と対決した例は少なく、北朝鮮、フランス、ロシア、中国、日本、どれも合えば仲良しである。その中でもイスラエルと最も有効的に見える。これは娘婿のクシュナーだけでなくユダヤ系アメリカ人たちへの配慮があると聞いた。
もちろん、各国とも表向きの動きや声明とは別にアメリカとの距離について模索しているに違いない。アメリカは現代でも圧倒的な国家であるが、落日の太陽を見たら電灯のスイッチを探しだすのが世の常というものだ。
では11月以降のトランプがどう変わるかについて正しく予想できる人はいないだろう。ただそれまでは様子見ができるというのが現在の状況である。特に保護貿易は、最終的にアメリカ工業を破滅させる可能性だった秘めている。とても将来に渡って維持できるとは考えられない。
一方でトランプがアメリカの実態をさらけ出したのはアメリカの再生にとって良い兆候である。これだけの問題が抱えている。それを自然に任せて置くだけでは解決しない、そうトランプは捉えた。この直視する勇気が彼をして立派な大統領にしていると思う。チェンジと言うのは容易い。だが問題は山積したままである。
何を変えるか、どう変えるか。問題の本質を掴む事。トランプはそこで間違っているかも知れない。だが彼の掲げる問題はどれも的を得ているように思われる。トランプの本音には真実がある。アメリカの白人を中心にしたブロックが崩落し始めている。それを直視せよ、という話だと思っている。
もし崩壊してもアメリカが現在の経済力を維持できるならどのように変わろうとも世界は彼らに従うであろう。もし維持できなければ、世界も変化するだろう。There are a east wind coming にならえば There are tide turning であろうか。
トランプは実は敵対とは思っていない可能性がある。すべてが交渉であって、基本的に最初に高い要求、強い要求をし、そこからお互いの友好を確認しながら妥結するドア・イン・ザ・フェイスを使っているのではないか。
実際に合えば彼は実に穏健である。実によく律している。とても友好的な人間関係が構築されたという一貫したメッセージを世界に宣伝する。その姿をみて世界は安心し交渉は上手く行くに決まっていると信じるわけである。恫喝による初頭効果、実際に会合しての親近化効果により、選択のマインドを相手にも世界にも意識付ける。
二人きりの会談で何を話しているかは知らない。それが知れるのは彼の退任後であろう。
トランプについて考えるとは、すわなち中国(地方ではない)について考える事と同じだという気を強くする。トランプの新しい戦略に中国が最も敏感に反応をする。と同時に、足踏みをしてくれるなら、それこそが我が国のチャンスであると狙っているのは明らかだ。
中国のターゲットに先進国はない。彼らは後進国と友好関係を築き一致団結する戦略を取る。後進国によるロングテールな巨大な市場を形成しようとしているように見える。その経済圏のメリットは少しの投資で極めてsensitive な反応を返す点であろう。ほんの少しの投資で高い成長が期待できる。確かに内乱や独裁の危険性も高いのだが、そのノウハウを中国共産党は死ぬほど持っている。
幾つかの問題をトランプは気軽に twitter する。これほど開かれた大統領はいないと思う。政府が動く前に初手を教えてくれる。その大概が恫喝だとしても。現在のトランプの動きは、どうも選挙に向けてのものであると思われる。今回の件も支持層からの要求に従ったものではないか。
選挙結果をうけて政権がどう変わるか、僕は知らない。勝った場合、負けた場合、勝った場合にありうる方向転換や現状の推進、負けた場合に起きうる方向転換や現状の推進、その先にある二期目の準備。
11月以降に向けた準備を始めた人がこの世界にはたくさんいるはずである。その人たちは黙したまま着々と歩んでいるはずである。僕は置いてきぼりである。