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ダウニー・Jr『シャーロック・ホームズ』第3弾

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ホームズの類型には幾つものパターンがあって、本作はアクションとしてのホームズが全面に押し出されているのだが、原作でも拳闘したり、野犬と戦ったり、モリアーティと格闘して落下するので、別にイメージ崩れはない。

 

そりゃ灰色の脳細胞は地べたを這う犬扱いするのであるが、あなただって、防げたはずの殺人を幾つも看過してきたではありませんか。その点ではあまり褒められたものではないのですぞ。

 

アメリカを舞台にする作品では、エラリークイーンは数冊読んだ。警察ものなら ジェッシイ・ストーンが今のお気に入り。私立探偵の始祖であるポーもアメリカだ、安楽椅子探偵と呼ばれる隅の老人も読んだ記憶だけは残っている。

 

日本ならご存知、神津恭介、金田一耕助も読んだ。耕助は、探偵というより、日本の既に無くなりつつあった村落共同体の終焉が味わい深かった。

 

というくらい、極めて少量しか読んだ経験がないのだが、後年、テレビでクライムサスペンスを好むようになったのはこのような背景がリンクしているんだろう。 LAW & ORDER は決して外せない作品である。

 

と、あちこちを歩いてきたにも関わらずホームズ as NO,1という評価は変わらず、これを超える探偵はちょっと想像できない。特に素敵だった作品が、人類が滅んだ後の地球に外惑星の異星人が発掘調査にきて、ホームズの様々な資料見つけた話だ。彼らは、ああだ、こうだと会話するホームズのパロディ作品だが、この面白さがずっと残っている。忘却してしまったので、作品の名前を探しているけど未だ見つけられない。

 

というわけでホームズにいつも戻るのである。流石にカンバーバッチのホームズが登場すると、ダウニーJRのホームズは少し古臭い感じがした。加えて二作目はあまり面白くなかった。

 

一作目はとても新しいホームズだったのに、二作目は弱まっていた。というか一作目と変わらなかった。映像が派手になっただけだった。麻薬と探偵という組み合わせもホームズが嚆矢だと思うが、デップが演じたフロムヘルはラストシーンが悲しくて良い。これもホームズの派生だと思っている。

 

とかく、第一次世界大戦が始まる前のイギリスがピークを超え、これから落ちてゆくかも知れないという時代の雰囲気が背景にあるのもドイルの魅力なんだろう。ジョージジェントリーがWW2後の雰囲気が色濃く魅力的だったのと同じだ。

 

現在の世界の殆どの大問題はイギリスが発祥である、といっても過言ではあるまい。たかが香辛料を独占しただけで、なぜあれだけの世界的な帝国が構築できたのか、理解できないのだが、産業革命以来、というキーワードが温暖化のせいでよく聞かれるようになった。

 

電気をここまで広めたのはファラデーの功績である。そのうち、誰かが発見しただろう、という推測は嫉妬深い穿った見方であろう。車輪を発明しなかった文明は数百年もの長きにわたり発明してこなかった歴史もある。必要ならば必ず発明される、とは思う。ただし今とは違う形で、とも思うのである。

 

確か延原謙の訳であるが「東風になるね、ワトソン」

 

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この言葉が人生の節目で何度も思い出され、ホームズのその後を想像してみる。彼は第一次大戦の悲惨さを見たであろうか。どういう思いで見たであろうか。ドストエフスキーの小説に登場するステパンと同じくらいに僕はその実存性を疑えない。

 

第三作目をただのアクションにして欲しくない思いもある。アメリカの、今だから描ける east wind を作品に託して欲しい。

 

There is an east wind coming, Watson