日本の蒸気機関車の技術について

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蒸気機関車は999という世界で最も優れた車体を見たせいか、日本のが最も美しいと感じる。これはもちろん、生まれ育った国で最初に目にしたものという贔屓があるので、各国の人それぞれの感じ方があるのは当然だ。

 

デザインには、筒むき出し型と、流線型に大別できる。とは言っても、石炭燃やして、水を蒸気にしてピストン動かすという機構は共通しているので、見た目のデザインというのは些細な装飾、または空力問題に過ぎない。

 

ではなぜ蒸気機関車にあれほどのロマンがあるのかと言えば、そのメカニカルさにあると思われる。ディーゼル、ガソリンの内燃機関よりも、巨大で訳のわからない機構がてんこ盛りである。ジェットエンジンの単純さ(キーンという音もまた魅力的だが)、モーターの味気無さ(ブーーンという音もまた逞しいのだが)と比べてもとても機械的なのである。

 

何よりも音がいい。シューという排気音、ガタンという動きはじめ、ジュジュという圧力が高まる雰囲気、大輪の空転、ゆっくりと動き始める音、次第に早まってゆく鼓動。

 

ここにロマンがある。ノスタルジーがある。もちろん、これは手続きの遅さの裏返しだ。走り始めるまでにどれだけ時間を必要とするのか、という話である。新幹線が駅を出て直ぐに200kmオーバーをするのと比べると、急ぐ人には辛い装置だ。

 

シリンダーを動かして巨大な大輪が回る。あれだけの半径が必要ということは、回転数だってそう高くないはずである。あれだけ巨大で思い動輪が必要とするのは力学的に見れば不利な点でしかない。それでもあれが必要なのはクランク長からの必然だろう。

 

日本の蒸気機関が技術的には世界標準と比べて遅れていたという話は興味深い。なるほど、確かに技術的に劣っていたかも知れないが、どうせ20c後半には廃れる技術なのだから、今となっては大勢に影響はなかろう。インフラの一部ではないから、負けたままでも問題はない。それどころか観光という視点からはとても魅力的なコンテンツである。松本零士の偉大な功績である。

 

新幹線は世界でも有数の優れたシステムであり、国内では大成功したインフラである。日本の経済発展を支えた重要な機構のひとつである。しかし、海外戦略という点では遅れている。これまでのアドバンテージも既に失われたと言ってよい。

 

これはシステムとして大規模でありながら、サブセットや一部だけの導入が考えられてこなかったという意味でもある。日本の失敗は大抵が官僚による判断ミスに起因するのであるが、問題はそのような失敗に対するカウンター力、復元力が弱いという構造的な理由による。更には失敗を許さない人事、刷新されにくい組織によって抜本からの見直しに弱い。逆に言えば、緩やかな変革にはとてもよく適用している。

 

リニア幹線の工事でもJRが国からの干渉をなるべく排除しようとしたのも理由はそこにあると思われる。もちろん JR 各社が善良な企業で利権を食い込みたい政治家が悪、という単純な話ではない。

 

JRはトンネル工事では周囲と多くのトラブルを抱えている。大規模工事である以上、近隣住民が心配するのは当然であって、問題の認識、対処、もしもの場合の補償と多段階の対策が必要である。行政がそこに食い込もうとする事は分かりきっていた。

 

いずれにしろ、新幹線が世界の基準となるためには、足りない事だらけである。最上級のバージョンが日本で運用中としても、アメリカでは専用軌道を嫌がっている。車が置かれていても、ぶち抜いて走行するだけの車両が欲しいと言ったりする。日本のシステムをほぼそのまま導入したのは中国、台湾くらいではないか?

 

いずれにしろ技術的に癖のある機械は、当然ながら運用はしなければならないので、そこには様々なノウハウが蓄積される。それが現役である限りは必須要件である。

 

そのような癖の強さ、UIの独自性を改善するのではなく、資格制度を導入し、Certification 制度によって更なるビジネスを展開した企業に Oracle がある。こんなに使いにくいソフトウェアもそうそうはない。ブロンズ(聖闘士星矢)だのシルバーだの、プラチナと用意する暇があれば UI を改善してくれればいいのにと思うが、エンジニアからしても、そこに新しい市場が誕生する。

 

資格を持っているエンジニアが優遇される。資格を取る、受験料が入って Oracle は Win。資格を取る、それだけで顧客の信頼が得られる、エンジニアの Win。要は使いにくい特別な学習が必要となるシステムだから起きる話なのである。

 

優れた UI を用意することを辞めた(善意の解釈)、あるいは、試験問題にしやすい UI を開発した(悪意による解釈)、そういうビジネスモデルが確立されたのである。それでもDBエンジンは世界でもトップクラスのものであるから、用途が失われる事はない。ライバルは数多くあるがデータベースの一角を完全に占めている。

 

もちろん SQL Server だって技術の奥深くに入り込めばとてもではないが難解な世界が待っている。それでもインストールで四苦八苦するなど聞いたことがない。

 

使用しやすさ、これだって立派な技術レベルの指標である。コア部分だけがどれだけ優れていても、それだけでは製品は成立しない。シャーシとエンジンだけで売れる車などない。心臓と脳だけで生きられる人間もいないのである。

 

戦艦武蔵はバイタルパートは最後まで船を守り切ったが、それ以外のほとんどの部分が浸水して沈んだのである。

 

失敗した、何が、

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