金本監督「結果で問われるのは巨人、阪神」一問一答

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旅行は出発する直前が最高に楽しいのである。それと同じで、プロの最も大切なものは「期待」であると思われる。だから、始まる前から「期待」ができなくなれば、身を引くほうがよい。

 

結果というものを最重要とする分野もあるが、娯楽は「期待」が9であって「結果」は1もあれば十分である。但し、今年の「結果」が翌年の「期待」に直結する場合は0はいけない。

 

結果は出なかったけど、十分に楽しめた、面白かったよ。「来年も期待しているよ」という言葉が引き出せたなら最高の終わりであろう。

 

プロ野球は日本で最も監督の多いスポーツである。その辺の居酒屋に行っても、監督連中が大気炎で吠えている。例えば球団にファンが100万人いるとすれば、最低でも2万は監督と言ってよい。

 

あの采配が、あの起用が、あのプレーが、全てごもっともなのである。だから聞いていて面白いし話も弾む。もちろん、現場の情報はファンだから知らない。ケガなどの情報は絶対に外に出ないし、出す時はきちんとした戦略に基づく。だから、スタッフにしかできない判断というものがある。

 

それでもファンとしては気持ちの持っていきようが欲しい。納得できない敗北には、その疑問を氷解させて欲しい。それは合理的な理由でなければならない。原因は必ずある。どのような対策をとったのか、どのような計画に基づいた行動か。球団が明らかにしないなら、自分たちで究明するしかない。

 

というファンをカッカさせるのが球団の基本戦略だから、情報は非公開である。ヱヴァンゲリヲンが今も続くのはとっておきの秘密が今も秘密のままだからだ、明らかにした瞬間に終わってしまう。同じビジネスモデルである。

 

そんな苦労も優勝すれば全てチャラ。そういう構造がある。

 

去ってゆく指揮官には、これから飯の種が心配である。成果が出なかったのはなぜか。「勝負の不思議の勝ちあり、負けの不思議なし」を何度も思い返すことになるのだろう。運がなかった、本当にそうかも知れないし、違うかもしれない。たったひとつの歯車が(あれば、普通は回転が逆になる)、ひとつのギアがもし噛み合えば、と思い返す日々が来るだろう。そういう時間を持てる事が最高の報酬に違いない。人が石垣の真意が適材適所にあるならば、退任はそれを促進する行為だ。

 

勝ち過ぎれば、もうこの辺りでよかろうと思うのが人間である。何時までも続くはずがない、と思うのが人間である。それが人の弱さであり、それでも勝ちに真っすぐ向かうには指揮官の心ひとつである。

 

金本が去ろうとも、カープのさらなる優勝を期待する。