新型新幹線の試験車両公開=最速360キロ検証へ-JR東

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空気を切り裂くために先端と尖らせる。それがたった300km/h程度で必要になるのは鉄道が陸地を這うからだ。ゼロ戦が遅いとはいえ560km。それと比べると360kmなどずっと遅い。だいたい九五式と同じくらいの速度である。

 

どうしてこれほど新幹線が空力に苦しめられるか。それは騒音や振動の原因になるからだと思われる。空を飛ぶ分には問題にならないものも、地上では違う。高度が高くなれば空気は薄くなるし、三次元を自在に空気は流れる。だから空では問題とならない話も、地上の決まった軌道しか走れない鉄道ではそう簡単な話ではない。

 

特にトンネルでは空気の逃げ場が小さいので、どうしても正々堂々と正面衝突するしかなく、ここに対向車までいたら更に空気の逃げ場がない。そこに躊躇なくぶつかってゆくので衝撃も大きくなる。

 

逃げ場のない空気を如何にやさしく後ろに流すかが問題の核心であって、それを追及したらこういう形になりました。それがこの新幹線だと思う。工学、流体力学を知らないので実際は違う話があるかも知れない。

 

いずれにしろ、実証機で問題を測定し、うるさいね、激しいね、と把握した後で新型機にフィードバックする。この形を見る限り、速度問題と空気抵抗は限界を迎えつつある。

 

だから、チューブ型鉄道が現実味を帯びてきているわけで、チューブの中の空気を抜けば問題がなくなる。事故の時に車外に放り出されたらそのまま窒息死するだろうが、どうせ現在の新幹線でもミンチになるだけである。マリンエクスプレスのロマンここにありである。 

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700系の方法論がすでに限界を迎えてようとしている。この先は先頭車両から乗客は追い出すしかなくなる。よって、この車両がこの方法論の極地であろう。

 

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すると次の車両には別のアプローチが必要で、簡単に考えられるものは、もっと積極的に空気の流れを制御する技術になる。たとえばトンネル内部で気流を起こして、その空気の流れで気圧を下げたり、騒音を低減する方法もあるだろう。だが、これはトンネルの維持、運用コストや故障時の問題を考えるとちょっと遠い。

 

もうひとつは新幹線の先頭車両から空気大量に発射して空気の渦や壁を作る方法だ。前方に空気の渦を人工的に作り出すことで、気流を制御できないか。だが、おそらく、この程度の考えはアメリカやヨーロッパあたりの軍用機で誰かが試しているはずである。

 

最新鋭のF35でもそんな技術は採用されていない所をみると、有益ではなかったのだろう。しかし、あれは空を飛ぶ話だから地上なら何かの役にたつかもしれない。

 

流れを制御する技術には、水泳競技、特に水着の材質などがある。ゴルフボールの表面も空気の流れとの闘いである。潜水艦の速度向上に空気の泡が使われているという話も聞いたことがある。だが、JRの研究所だってさんざん試しているだろう。不採用になったアイデアは売るほどあると思われる。

 

この車両が700系のひとつの到達点だとするならば、今後は別の何かが採用されるはずだ。500系は主流にはなれなかった。次世代新幹線、それはおそらくリニアとして実装されるのであろうが、どのようなアプローチを採用するのだろうか。

 

それが新幹線というシステムを世界に売り出す場合のコアを支えるだろう。速度が500kmを超えれば大陸横断鉄道として利用されるだろうから。