文大統領「日帝の影から脱却を」 日本側を刺激の可能性

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今年、我々は日帝時代を経てゆがめられた権力機関の影から完全に脱する元年にしないといけない。日本の植民地時代の検察と警察は、日本の強圧的な植民地統治を支える機関だった。独立運動を弾圧し(韓国)国民の生殺与奪権を握っていた恐怖の対象だった。

 

韓国の問題点が何であるかは知らないが、大統領が次々と被告となる状況には違和感を持っていた。この発言がそのような状況に対する問題提示ならば、この改革には納得できるものがある。

 

だが、同時に警察、検察など司法機関への宣戦布告でもあるので、この改革に失敗したなら、彼もまた逮捕される運命にあるのだろうと思われる。

 

彼は2012年に「対日5大歴史懸案」を発表する強硬派の人のようだ。

  1. 竹島は韓国領
  2. 慰安婦問題の法的追及
  3. 戦犯企業入札制限指針の強化
  4. 日本の教科書是正
  5. 植民地支配時代に移動された文化財の返還

 

この中で異常なのは「戦犯企業入札制限」だろう。いまもこういう制度を持っているとしたら異常な気がする。それほど朝鮮半島が支配された事件は彼らにとって歴史上の一大事だったわけである。この事件が与えたインパクトは今も強く残っている。

 

朝鮮半島は、常に中国大陸からの独立に苦労した歴史であった。元に支配された時期を除けば、おおむねすべての時期で独立を保った。

 

アジアの時代ならばそれで十分だった。白村江であれ秀吉であれ、あの程度の輸送力しか持たない時代は問題はなかった。そう、ヨーロッパがアジアに蒸気機関を持ち込むまでは。

 

ある意味、李氏朝鮮がそれに対応できなかったのは、常に中国と睨んでおく必要があったからもひとつの理由だろう。それゆえに海の方から派兵してくる勢力がある、という事態に対しては後手になった。そういう解釈は十分に成立する。そういう時代、または西洋の技術を読み切れなかった。

 

中国を重視する事大党と、近代技術の威力を重心する開化党の対立は、事態を改善はしなかった。1894年の日清戦争により中国の影響は弱まり、1898年の李氏朝鮮からロシアが手を引いたことによって、そこに残ったのは日本だけであった。

 

朝鮮半島の人たちは、近代国家を取り込む時間を奪われた。日本統治によって、それを自分たちの手で学ぶ機会も奪われた。日本統治は確かにインフラを整備し、教育を広めた。だが、近代国家を支えるエッセンスは「独立」にある。それを取り除いた教育が歪なものであったことは否めない。

 

近代国家という理念は「独立」のための思想である、というのは単純な思い付きであるが、そう外れていないとも思う。日本は独自にそれを取り込み、自分たちで咀嚼して大日本帝国を作った。そういう建国の情熱は当然だが、朝鮮半島でも燃え上がっていた。それが不幸にも消沈した歴史は、ゲームとしては激ムズの部類であった。

 

いずれにしても、韓国もまた、戦後を自分たちで消化できていないわけだ。その延長線上に近代国家という思想がある。東アジアは、どの国家もこのヨーロッパ発の統治思想の取り込んでいる最中にある。もちろん、ヨーロッパの綻びは、この思想が見直される時期に来ている証拠かも知れない。

 

日本が持ち込んだ「憲兵警察制度」が形を変えて取り締まりをしている、と大統領は見ているらしい。かつては独立を抑えるために機関であり、今も大統領を告発し続ける検察機構が、権力機構から見れば、今も独立を抑え込もうとしているように見えたとしても確かにそう思う。

 

逆に検察機構から言えば、大統領は皇帝の代わりでもある。清廉潔白でなければならない存在なのだ、その地位を私用しようとする人は、例え一本の鉛筆であっても見逃すことはできない。それを見逃してしまえば、彼らは自分自身が皇帝であると振る舞うようになるだろう。最後の皇帝が国を売った。私利私欲のためならば国家を売らないとなぜ言える。

 

もし彼らが権力と権威を分離した統治体制を作れるならば、この問題は小さくなるかもしれない。ならないかも知れない。僕は知らない。

 

いずれにしろ、韓国は今も過去と戦っている。恐らくその戦いをするのに実体としての日本は必要ないはずである。そして日本だって、今も、あの敗戦を消化しきれないでいる。

 

それは互いにペリットのように吐き出してはい、おしまいとはできない類のものだ。