G7、リブラに「最高水準の規制」=深刻な懸念共有-議長総括公表・財務相会議閉幕

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リブラは、facebook がユーザから搔き集めたお金(現実世界のお金)をリブラという仮想通貨で使用できるようにしたものだ。基本的には現実世界のお金とリブラは1:1でマッピングされている。

 

そういう意味では、リブラなど所詮は商店街の通貨に過ぎない。ただ兆巨大なだけである。世界のどのストリートでも使用できる地域通貨なら、恐らくちょっとした国家紙幣よりも強力だ。

 

アンダーコントロールという言葉を一般に周知させた事は安倍総理の功績だが、各国の中央銀行は、貨幣のアンダーコントロールを重視する。国家が採用できる経済政策は、そう多くはない。紙幣(国債)の発行、課税、利子、おそらくこの三つだ。

 

お金は流通する。この流通によって、実際には発行されている額の数倍もの見かけ上の価値を持つ。国内の紙幣を全部搔き集めても例えば100兆しかない状況でも、国内で流動しているお金を数えたら千兆にも万兆にもなる。なぜかといえば、ダブルカウントできるからだ。つまり投資の価値。

 

AさんからBさんに投資されたお金はそこで役割を終わるわけではない。Bさんは次にCさんに、CさんはDさんにとお金を渡してゆく。仮に10%ずつを抜いていって、残りを渡してゆくとしても、まるで川面に投げられた石が跳ねるように、次々と人の手に渡ってゆく。

 

其々の人が手元に残したお金の総額は全体以上には増えないが、自分が誰かに渡した金額の合計は最初の額を遥かに超えている。そう小室直樹の本に書いてあった。もちろん、誤読でなければの話である。

 

多くの国家、特に先進国では、インフラとデフレの間で苦労している。スタグフレーションの可能性にも注意しなくてはならない。今でさえ碌にコントロールできていない不況にあって、新しい懸念材料が増えるという話。もし、リブラが勢力を増せば、相対的にコントロールできる量が減る。

 

では、リブラによってどういう事件が起きるのであろうか。リブラという通貨にみんなが流れるという事は、それと同量の貨幣が facebook 内に留保されるという事になる。

 

それらはユーザから借りたお金だからと主張できるが、世界中から集まった金額は27億人の利用者が全員10万円として270兆円。facebook時価総額が40兆円だから、それよりは遥かに大きい。アメリカの歳出額は約300兆円である、それよりは小さい。

 

これだけのお金を集めて何をするのだろうか。先ずは集まったお金を元手に投資するだろう。次に仮想通貨に対して手数料が取れる。民間なら手数料、国家がやれば税金である。これで世界有数のメガバンクの出来上がり。

 

仮想通貨は暗号化されているので、その取引の全貌を外部から把握するのは難しい。となると、そこで取引されているものに対して税金は取れない可能性が高い。企業にとって税こそがビジネス上のネックである。もっと言えば、銀行から借り入れる事もネックである。更に言えば株式公開して株主に支配されるのもネックである。

 

今までとは異なるお金の集め方ができる。それは魅力的ではないか、という話ではないか。20年後の世界から来た人たちは facebook なんてもう存在していないよ、と言うかも知れない。世界の半分を破滅する金融大災害を引き起こしたんだ、という話もないわけではない。

 

だが、この流れを国家が止めようとする以上、この流れは加速することはあっても、停止することはあるまい。企業にとって仮想通貨はそれほどまでに魅力的なのだろう。

 

本当かな?