端末から顔をあげ悲惨な顔。
「長官!コロナウィルスの侵略止まりません、感染者の増幅、階乗にて上昇中。」
長官は落ち着いて髭を触りながら聞いた。
「PCR兵器の投入はどうなっている?」
「光学監視装置の配備不十分。侵入者の正確な監視、不可能!」
「世界での上昇とまりません、あっ!」
「どうした!!」
「パリ、陥落しました。さよならを送ってきています。」
「ニューヨーク、通信途絶、、、」
防衛施設の部内が揺れる。
「ここも長くは持ちません。。。」
「長官、我々にはあれに対抗する手段はないのですか?」
「長官!」
部員たち全員が長官を見上げている。
「NATT、YOG部隊はどうなっておるか?」
「は、はい。。。暫くお待ちください。」
「長官、出撃準備完了との応答、ありました。」
「行ってくれるか?」
モニター越しに司令官を見つめている長官。
「行きましょう。もう我々に残された時間は少ない。」
「我々細菌部隊はこれから最後の決戦を挑みます。」
「よろしい、出撃を命令する。吉報を待つ。」
全所員立ち上がり敬礼する。
基地のゲート扉があき、数kmにもおよぶ巨大な艦隊が出撃した。
指令官がマイクを握り訓示する。
「私はNATT-YOG連合艦隊司令長官納戸陽俱である。」
「諸君、我々の前にあるのは辛苦であろう。」
「これは最後の決戦である。敵はわずか数m、小回りの利く破壊兵器群、その数も我々を圧倒している。厳しい戦いが予想される。」
「それでも我々は敵を殲滅しなければならない。世界の興廃をこの一戦に託す。」
遠くの空が真っ黒になる。
「敵多数、雲霞の如く。」
「主砲ひらけ、ねばねば対戦準備!」
「敵到来、あっ」
「どうした」
「敵が小さぎます、我々の包囲網を全て通り過ぎてゆきます、ま、まるで。」
「まるで、なんだ。」
「魚をすくう網で、ゾウリムシをすくおうとしているようなものです。」
「後方、5時の方角!免疫システムが到来しました。」
「顆粒球、白血球、樹状細胞、リンパT細胞、B細胞!」
「ああ、敵を次々と撃破しています。」
「免疫AIより入電ありました。」
「な、なんと言っている」
「前線は我々に任せてほしいとの事です。」
「後方にて健康増進に努めて頂きたいとの事です。」
「そうか、了解である。我々は撤退する。」
長官室
「おめおめと戻ってきました。」
「あの装備では敵を封じ込める事などできません。」
「そりゃそうだろうな。。。」
しばしの沈黙。
「そりゃそうですよね」
二人は笑いあった。