「ゲームは1日1時間まで」 香川県の条例成立でヤドンも悲しむ!?

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このディストピア有川浩によって図書館戦争として上梓されており、今さら現実でやるとは香川県民は本を読んだ事のない人しかいないという推測は恐らく正しい。しかし、一方でアジアで最初に理念と理想と太平を目指し法で統治を作り上げた秦が焚書をしたことを思えば、何かを禁止する事には一定以上の効果がある。

 

もちろん、この条例は禁止ではない。しかし、条項の行間からは禁止という音が垂れ流れている。少しでも油断すれば禁止するに決まっている。

 

だが、これが本当に何等かの人間の権利を阻害するなら、香川県民は憲法に違反しているから本条例は無効であると裁判に持ち込めばいいだけである。香川県にもたぶん弁護士や裁判官がいるだろうから、その辺り、本当に危機感を感じればやる。

 

もし香川県に住む事は嫌だという人が一定数いるなら、県境の人は、ちょっとお隣りに引っ越せばいい。学区などは変わるが、日常生活はそう変わるまい。

 

しかし、問題点はそういう所ではないのだろう。香川県のような普段は日常から消えきっている地域でこのような実験をやったという事の背後に何の戦略もない訳がない。何らかの組織の暗躍がある。もしなければ香川県民は相当の間抜けだ。

 

漫画もゲームも禁止、香川県はITから撤退するという考え方は、多分に宗教的である。アーミッシュの人のような信仰を持つことは個人の自由だが、それを他者にも強制するのには驚愕する。だが、多様な価値観にはヨーロッパでさえ耐え切れなかった。アメリカでさえルツボからサラダボウルに変わった。

 

化合物と混合物の違いと言えばわかりやすい。人間や文化は原子分子じゃないから化合なんて出来ないという話。しかし、一方で進化論が示すように、DNAは組み合わさったり、融合したり、取り込んだり、置き換わったり、分解したりはある。

 

基地外でも政治家になればこれだけの力がある、という事を示した良い事例だが、もっとすごい事例を日々目の当たりにしているとそう驚くほどの事はない。そういやみっともないじじがまたひとり、それくらいの話だ。

 

少なくともこの条例が憲法違反でないなら、これはすべて香川県民の選挙の結果であるし、その審判は次回の選挙結果で明らかになる。少数派、マイノリティがどれほど危惧しようが、多数派、マジョリティの総論には逆らえない。だから、民主主義の歩みは恐ろしく遅くしてある。何度も話し合いな、憲法はダレノガレみたいな奴である。

 

だが、香川県がとった手法は明らかにナチスのそれと良く合致する。広く人々の意見も聞かなければ、ある特定の集団の意見のみを優先して全員の意見であると堂々としている。なにより、この国で全体主義的な方法論になんら嫌悪を持たない人々が権力を手にし始めた事。それが選挙で圧倒的に指示される事、そういう人々が自分たちに異常なほどの自信を持っている事。危惧すべき事象と思う。

 

もちろん、戦後すぐの時期にも、服部卓四郎など敗戦などどこ吹く風で自衛隊まわりをうろついていたチンピラ気取りは居たのである。この程度の男でも作戦課長、大佐まで出世したのである。当時こんな事を書けば、特高様ご到着~である。

 

アメリカでの進化論裁判をなぞらえれば、決してあきらめるはずがないのである。特に教条が宗教的になればなるほど、否定できなくなる。だから、たとえ香川県でこの条例が廃止されても他のどこかで同じように考えて似たようなものを制定する勢力は消えないであろう。

 

そしてそれが可決されるか否定されるかを決めるのは科学でも論文でも憲法でもない。ただ選挙結果である。つまり全員の選択である。そして、人間が分裂させれないように、経済的に優れた政策を掲げる人が同時にIT否定論者であるかも知れない。

 

経済的救済と引き換えにIT否定法を導入する事はやむなしと恐らく人々はそう選択するだろう。言論の自由など飢餓の前では空念仏である。キリストだってそう言っている。人はパンのみで生きるにあらずと。つまりパンがなければ生きられないとキリストだって語っているのだ。言論の自由など風に舞う紙切れと同じである。

 

ITに対する恐怖がめざとく依存症という都合のいい理由付けを見つけた。そして、家族の在り方を法律で制限できるという考えたと結びつき、それを試す都合のいい地域が見つかった。どう見ても古き良き時代への懐古趣味である。そして、それを条例で強要できると信じた彼/彼女らの中にはもちろん、正義がある。というか正義しかない。正義しか見ない者は必ず狂人である。

 

それが香川県民の選択である以上、他県の人間が何かを口にする事はできない。オリンピックは東京都が行う事業である。他県の者が何かを口に挟む筋はない。それでも失敗に終われば笑うくらいは許されたい。ただ笑うしかない人、快哉と笑う人、痛快愉快と笑う人。笑っている間にそれらは背後から近づいてくる。

 

とりあえず、ゲームメーカ各社は香川県から接続された場合は、時間カウントを常に表示し、始める前に警告を、55分経過すれば警告を、一時間で警告を、それ以降は5分毎に警告を出すべきである。そうして子供たちを本気で噴飯させない限り香川県は変われないはずだ。