WHO、ワクチン義務化に否定的 「接種を奨励・促進」

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パンデミックからの脱却を目指すには幾つかの道がある。ひとつは自然免疫を頼りに全員でウィルス粒子の中に飛び込む方法である。この方法のメリットは何の準備も必要ない事、特に、先進国では良好な栄養状態と衛生環境が揃っているので、余程の強毒性でない限りは生き残る可能性は高い。

 

この方法のデメリットは病気と免疫との相性に全てを託すので不幸にして相性が悪ければ死んでも文句は言えない。ヨーロッパやアメリカの事例は想定をちょっと大幅に超えたが、基本的に運に託すである。しかし、運とはいえ、その背景には人類になって20万年、類人猿になって400万年、多細胞生物としての5憶年、生命が発生して39憶年の間に獲得し鍛錬を続けた進化の結晶である。そうそう馬鹿にした構造ではないものに託すのである。

 

もちろん、強毒性の病気も次第に弱毒性になると言われる。なぜなら強毒すぎれば感染が広がる前に運搬者が死に至る。そういう性質のものは早々に消えてゆく。この論理は、先進国の発達した医療制度下でも成立するのか?少なくとも論理の根拠となる少人数の集団は都市部では希薄と思われるのである。

 

結局、我々はこの方法をアレンジした方法でしかパンデミックには立ち向かえない。そのひとつがロックダウンであり、その肝要はソーシャルディスタンスの拡大と強制である。病気に感染するとは距離の問題に置き換えられる。火星で如何なる病原菌が生きていようがが、今の所心配する必要がない。地球と火星の距離がそれを保証している。COVID19は2mである。7500万kmもの距離は必要ない。(自然免疫が獲得するものも最終的には感染者と免疫を持たない人の距離が十分に離れる意味である)

 

距離は、最終的には濃度の問題に置き換えられる。マスクであれタオルであれ、空気清浄機であれ、HEPAフィルターであれ、換気であれ、濃度の問題である。特に空中に漂う飛沫、エアロゾルの場合は、屋内では距離を無効とするから、換気によって濃度を下げるしかない。そういう方向での対策は、あくまで濃度と症状が比例する前提の推定に基づく。ジェンナーの帰納法から薄ければ程よい免疫を持つという話である。

 

しかし、最終的に我々の最後の決め手だよ、ゲール君は、ワクチンである。これが大量に免疫を獲得し、病気の脅威を軽減する道だ。故に大量という点からも、もし副作用や重篤な問題があった場合は、それは世界中で起きる事を意味し、そのリスクは自然免疫で死去する人の数を遥かに超える事も想定しておく必要がある。故に慎重な運用が求められる。ワクチンを打ちました、発がん率が有意に上がりましたでは冗談ではないのである。

 

どれほど論理的に大丈夫と考えられても杞憂は絶えない。ひとつは我々は免疫の全てを未だ理解していない。まして病気と個人の免疫には相性があるから、ワクチンと免疫の間にもあるだろう。次に人間は間違える生物である。幾ら専門家が大丈夫と言っても、彼らが間違った判断をしないとは限らない。まして政治的、経済的圧力が強い時に、それでも主張を曲げない人など変人として最初から外部に追い出される。

 

まして、短期的副作用がない事は、長期的な副作用がない事を証明しない。薬害というのは、大体が数年後に判明するものである。そして起きればリカバリはほぼ不可能だ。

 

だから、これほどの短期的に一斉に使用するには、その適用には順序が必要だし、最初は少しずつが基本になる。例え副作用があっても被害を最小にする方法が検討される。特にCOVID19では年齢が問題であるから優先順にに年齢が加味される。若い人に重篤者が少ないのは幸いだ。統計で言うなら30代以下にワクチンは必要ない、または後回しでいいはずである。

 

この方法のメリットは副作用の問題が軽減できる点にある。デメリットはもちろん、色々あるだろう。しかし、ワクチンの登場とその効果によって、この冬の終わりには、パンデミックは終わりという機運が世界中を覆うだろう。人々は心配をしなくなるはずである。これでもう大丈夫という気持ちが最後の波を齎すだろう。ワクチン接種はまだ追いついていないからだ。それを最後にしてパンデミックは終了するシナリオが想定される。少なくとも、各国がロックダウンの時間稼ぎして来たのはこの為だったのである。

 

WHOが義務化に否定的なのは、義務化すればある地域に必要とする数が跳ね上がるからだと思う。WHOとしては、まさかパンデミックを終了させないために共謀している訳ではなかろうから、先進国と後進国の間での医療格差を課題にしているのだと思う。また義務化によって発生する未知の副効果への懸念もあるだろう。副作用が読めない限り、全員に接種するリスクを当然ながらWHOとしては背負えない。

 

日本の場合は、オリンピックの存在が判断に強く影響する。打つ対象はリスク層が優先である。リスクにはライフ的リスクとジョブ的リスクがある。ライフとは罹患した時の重篤化の統計であって、年齢、持病などが影響するだろう。それ以外の因子やファクターXもあるかもしれない。

 

ジョブ的リスクは、医療関係者など、罹患する可能性が不可避で高い職種である。オリンピックボランティアもこれに含まれるだろう。多くの外国からの来訪者を受け入れるなら、ワクチン接種は必要条件になるかも知れない。空港で入国時に打つ事を義務化すれば、世界中の多くの人がその目的で来日するしオリンピックも成功するだろうしいい方法かもしれない。すると空港で業務する人も優先する接種する事になる。

 

このワクチンが希望か、それとも重篤な副効果により更に状況を悪化させるのかは誰にも分からない。しかし、手順に従い数万人で治験した結果は悪くない。その限りで言えば心配は杞憂のはずである。杞憂が尽きないにしても杞憂である限り、それは脅威足りえない。

 

国は現在、様々な観点から多くの予算を投入している。これを好機と儲けている人もいるだろう。それが正当な利益なのか、それとも、国を利用して金儲けに走っただけなのか、そこにも今後は注目されるだろう。今回に限ればCOVID成金を上手くやりやがってとやっかみ半分、羨ましい半分とはならないだろう。人間の屑が、と魔女狩りだって起きうる。ワクチンの登場によって、人々の気持ちの上では、パンデミックはもう終わったのである。それでいいと思うし、そうでないといけない。

 

まだ早いという警告は専門家の領分である。