橋本聖子会長、尾身会長提言に「7分ジャスト」熱弁で五輪開催理解求める

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このようなパンデミック下でのオリンピックは静寂が相応しい。観客のいないスタジアム、選手たちの集中力、土を蹴る音、呼吸を整える音、ため息、怒り、喜び、静寂でしか伝えられない音がある。時にはお腹の鳴る音もするだろう。

 

これは当然だが、観客を入れないための措置である。勿論競技場の殆どでは空気の流れさえ支配すれば、ウィルス濃度は稀釈され危険度は少ないはずである。この点について専門家であっても否定はしないであろう。

 

もし観客が14日の隔離に同意しオリンピックが終了するまでスタジアムから出ないのであれば、危険度は下がる。少なくとも感染地域を限定する事ができる。封じ込めに成功する事ができる。

 

だが、実際はそうはいかない。全ての観客がワクチン接種済みか、既に感染した後であるという条件を課すなら十分に可能ではある。だがしかし、それは旧態然とした感じが拭えない。

 

今回は観客が新しい体験をするのに絶好の機会のはずである。各座席に高感度のカメラとマイクを付ける。「座席を売る」は、テレビとは違った視覚を得るという意味になる。買った者しか得られない視線がある。8Kのカメラをドローンに搭載すれば、競技上の好きな場所から感染できる。テレビでは決して得られない自分だけの場所からオリンピックを買う事ができる。

 

最も高額の席ならば、選手から3mの場所からの視線も可能としよう。ドローンに搭載された高感度のカメラとマイクの情報を自分のモニターに表示すればいい。そこには熱気も独特の匂いも風もないかも知れない。その点では実際に観劇には適わない。しかし選手のすぐ近くにまで自由に近づける視点は刺激的ではないか。

 

飛び回るドローンや、観客席からの映像を売る事で、リモートでの楽しみを得る事ができる。でもそれが本当に可能なら最大のスポンサーであるテレビ局が黙って許すはずもない。そんなのテレビ局は納得しないし、その映像はテレビ局が独占したいと考えるだろう。

 

人間は群れる動物だから、選手にとっても直ぐ近くに観客がいるのとドローンがぶんぶん唸っているのではパフォーマンスにも影響する、人の熱気はカメラでは伝えられない。何も聞こえなくなるほどの地響きはマイクでは得られない。

 

では静寂のオリンピックというものは不可能なのか、今回もまた熱気を得るために、多くの人が感染リスクの高い中に飛び込むのか。そういう話になる。

 

もし今回のオリンピックが不良債権だとしたらさっさと終わらせたいと考える人もいるだろう。だが、今冬には冬季オリパラがある、たった2年でフランス大会が開催される。ワクチンの威力はこの冬にはパンデミックが終焉する事を暗示する。あらゆるデータは今年で終焉とまではいかなくても下火に転じる事を示している。

 

故に、2022年ならば、普通のオリンピックは開催できるだろう。だが、それを拒否する人々がいる。IOCか東京都か、組織委員会かは知らない。だが、誰もそのような具申をしなかったはずはない以上、拒絶した人間の名は明らかにすべきだと思うが、隠す体質を身に着けた政府がそれを公表するとは思えない。

 

組織委員会に担当大臣も都庁トップも全部が女性である。彼らはスピーカーとして機能をよく発揮しており、安全安心は繰り返すが、安全に絶対はない。観客を入れてもクラスターは起きないのか、それとも起きるかは恐らくやってみなければ分からない。

 

つまり、万全の対策など出来るはずがない。それが可能なら、緊急事態宣言などしなくとも封じ込めれるはずである。気の緩みだから仕方ない、オリンピックではそんな状況にならないように努める。平日でも緩んでいるのである、あれだけの祭典、ハレの日に緩まない方がどうかしている。

 

社会実験として考えるならば、オリンピックは是非やれ、それで感染がどうなるかを綿密に調査して論文を書いてやると息巻いている学者や修士はいるだろう。もしいなければ吃驚である。

 

一方で現実に現場に立つ医療関係者たちには気が重いはずである。ワクチン接種が進んでいるとはいえ、数十~百万人の移動が発生する時にクラスターが皆無とは信じられない。日本の許容は重症者数1万人までである。2週間の延べ移動人数に対して何%が罹患するか、そのうちの何割が重症化するか、オリンピック終了の1週間後に示す数値に注目である。

 

案外、拍子抜けに終わるかも知れないし、海外から数万人が渡来するから、複数の変異株が同時に持ち込まれる覚悟もしておく必要がある。それが弱毒型なら問題ないが、そうでなければ気が重い。

 

逆に、この期間中に日本変異株が発生し世界中に拡散するための祭典になる可能性も心得ておく必要がある。それが重篤型か、弱毒型かは2022年の行く末を決定しかねない訳である。

 

それでも政府も東京都も組織委員もIOCもその殆どの主要メンバーはコロナに罹患しておらず、それ故に開催する方向が揺らぐことはない。どれだけだれが声を高らかに糾弾しようと追求を無視する方法はこの10年で自民党が身に着けたひとつの技能である。検察が動かない限り、なんとも思わないのが現状である。

 

よって仮にオリンピック後に感染爆発が起きても誰も何も思わないだろうし、政府が動じる事もないであろう。オリンピックが感染拡大した証拠は何もない、といって逃げ切るだけである。ただ竹中平蔵が景気よく政府から金をがっぽり手にする。それくらいは分かり切っている。

 

そのような答弁をしても馬鹿呼ばわりされない為に女性を前面に押し立てたのだ。受けた方もその役割を自覚している。必要なら馬鹿も演じよう(演じなくとも馬鹿である可能性は否定できない)。

 

しかし、日本の感染者数は驚くべきなのである。数字を誤魔化していないとすれば、本日の感染者数は、インド120529、アメリカ16860、イタリア2556、ドイツ2293、フランス169、カナダ244、イギリス0に対して2577人。ワクチン接種では遥かに出遅れたにも係わらず。

 

ワクチンの接種率(1回以上)はインド13、アメリカ51、イタリア41、ドイツ45、フランス40、カナダ60、イギリス59に対して日本は9%。どう比較しても日本の数値はおかしい。

 

このおかしさを研究するまたとない機会かも知れないわけだ、オリンピックは。期間中は東京から離れる方が良いとも思うが、それをすれば地方への拡散を後押しする。出るもだめ、居るもだめ、ならば、結局、閉じこもるしかない。

 

鶴の巣籠もり。囲碁では悪い形とされる。