「中国が南シナ海で埋め立ての可能性」フィリピンが“中国による調査”の映像公開

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中國のやり方は古いように思える。如何に軍事力で押し通した所で、短期的には軍事的に支配できたとしても、それを維持するには経済が必要である。植民地支配なら略奪する事で運営資金も賄えた。しかし、中國のこれは、経済的利益は生み出さない。支出のみの支配である。

 

国家の経済価値は市場が決める。市民が住む限り市場を必ず形成する。それは0以上の価値がある。それは国民の数とその所得に比例する。

 

インフレと言う状況は、昨日まで100円だったものが今日は110円になっている事である。それは物の価格が上がる事だ。よって、相対的にはお金の価値が下がった事に等しい。

 

インフレでは銀行通帳に書かれた100円はそのままなら価値は下がっている。昨日は買えた100円の商品が今日は買えない。110円に値上がりしているから。その代わり、利率が上がるので完全に下がるだけではない。価値はフィードバックは受けながら恐らく平準化しようとする。

 

なぜインフレでも給与が上がるかと言えば、物の価値の上がる場所で売買が発生すれば、買う値段も上がるから、売る値段も上げる事になる。それが企業の収益を増やし、給与に反映される。もちろんタイムラグはある。

 

かつての日本は価格に転嫁できないから価格は据え置きで工夫で対応した。品質や量を落す事で利益を確保しようとした。価格があがれば数量が減る、それでは利益がでない。ならば価格は据え置きで数量を確保する。原価の上昇分は内容量を減らす事で取り返す。

 

常に数の計画を立て、それだけの出荷が可能となるにはどうすればいいかという戦略が行われてきた。競争力を価格でしか維持できないビジネスであった。

 

だが、この方法は以前と同じ出荷量を維持するのが精いっぱいであったから給与には反映できなかった。こうして日本の市場は急激に痩せていった。あとは負のフィードバックが連鎖するだけである。それがどこで限界を迎えるか。どのように向かえるか。

 

160円に達する円安になってようやく価格の上昇が見られるようになった。インフレではある。値段への転嫁が初めて行われたが、給与にどれだけ反映されるのかは不明である。

 

自由主義経済は0の所に+1の価格の上乗せをして儲ける手法である。この上乗せに意味はない。理由もない。すべて市場で売れるかどうかで決まる、それを見えない手と呼ぶ。もちろんこの見えない手は価格を調節するマクロ的な機能であるが、その調節が当然ながら人間の生活を維持するに足る範囲で収まるかは保証しない。

 

その結果として価格が高くなりすぎて完全に売れなくなったり、逆に低くなりすぎて売るだけ赤字という状況もありうる。

 

価格は競争力として最大に有効なため大企業が市場独占をする手法としてよく採用されてきた。この体力勝負は現在では独占禁止法で抑制されているが、体力勝負は自然界でも有用な戦略である。これが禁止だとミツバチが蜂球を使ってスズメバチを撃退できなくなる。

 

経済制裁もこの体力勝負であるから、根腐れするまで行うものである。その結果として交渉のテーブルに付かせる事を戦略とする。

 

これは中國に対しても有効か。もちろん、ロシアの侵略を見れば分かるように製剤制裁は一年程度で効果が出るものではない。何年にも渡って厳しく行わない限り、ロシアが国内留保する資源を使い切り、そして深刻な物不足に陥り、インフラさえ停滞するようでなければ、目に見えた効果はでない。

 

要塞を攻める場合は周囲を全部囲ってあらゆる補給を断つ。そこからは要塞側は援軍が到着すれば勝ち、攻める側は相手が飢えて降伏するか、占領すれば勝ち、そういうゲームになる。要塞側も馬鹿ではないから相当に長く戦い続ける覚悟はしている。

 

だから中國を経済で断つのは短期では難しいと思われる。が、巨大な人口を抱える中國は、恐らく輸入を断って維持する事は不可能と思われる。巨大さ故に、エネルギー不足は深刻になるかと思われる。

 

もちろん、中國にしかない資源がある。つまり、貿易に関する限りは、こちらだって十分に不利があるのである。3億人の豊かな中國の市場はアメリカ経済にとっても魅力である。必要なら一億人の市場である日本と天秤にかける可能性はある。

 

そして経済制裁を受けたとしても中國は核保有国である。軍事に相当の予算を投入している。いつまでも通用はしないのは明らかだが、10年程度なら維持できるだろう。少なくとも共産党は引く気はないように見える。どうもフィリピンに勝ち目はない筈である。軍事的にも経済的にも。

 

そもそも中國が核保有国になれたのは戦勝国だからだ。拒否権をもつ常任理事国であるのも、日本が戦争を仕掛けたからだ。日中戦争さえなければ、どう考えても常任理事国になれた筈がないのである。愚かな日本軍人。

 

そもそもの日中戦争でさえ、西洋列強、特にアメリカも虎視眈々と中國という市場を狙っていた。そこに日本は単独で紛争を持ち込んだ。満州国までは各国は承認していたが、中國の挑発に軽く乗ってしまう。その程度の自制心さえ失っていた軍隊だったのである。正しくはアメリカと共に中国大陸に進むべきだったのである。

 

という事は現在の中國の国際社会における立場は源流をさかのぼれば日本帝国のお陰である。よって我々には現在の中國の戦略を批判する資格がない。パレスチナ問題がイスラエルだけの問題ではなく、さかのぼればイギリスに辿り着くのと全く同じ構図がある。

 

フィリピンはアメリカ、日本とともにこの問題の当事者として矢面に立っている。どうしてゆくかはフィリピン市民の決意であるが、粘り強い交渉といくらかの武力は必要である。だが正面から中國の強引さを跳ねのける力はない。どれだけ既成事実化されようと粘り強くやってゆくしかない。50年、長期計画が重要と思われる。

 

中國が南シナ海制海権に拘るのはインドとアメリカを分断する為だろう。そして中國とアフリカの間に海洋支配を強力なものにする事、そのための橋頭保が南シナ海である。だから本当の鍵はアフリカの未来にあると思われる。

 

アフリカは今も大変な混乱の中にある。しかしポテンシャルとしては地球に残された最後の場所である。恐らく南米よりも。奴隷貿易の傷がようやく癒え始めたと見るべきで、これから発展する可能性が高い。特に宇宙開発におけるアフリカの有利さは他を圧倒するであろう。

 

日本はまずJAXAのアフリカ基地を作るべきだ。手を組める国がどこかは知らないが共同で運用する道を開く。ロケット工場を現地に立て、ロケットをやりたい人がアフリカに集まる、そういう流れを作るべきだ。学校も建て優秀なアフリカのエンジニアを育ててゆく、そうすべきと思うのである。