ブレグジット、移行期間延長だけで問題は解決せず=独外務省高官

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大阪人はとてもユニークな投票結果を好む。だから、例えば大阪が日本から離脱する OSExitは充分に考えられる。

 

その時に何が問題になるか。国家の最重要事項は何か、主権?裁判権?軍隊?国民?いいや違う。坂本龍馬船中八策にもある通り、それは関税権である。アメリカもそれが理由で独立した。

 

鎖国ならいざ知らず、貿易に欠かせないのが自主通貨になる。独自に貨幣を発行する権利である。これで初めて国内の市場が成立する。

 

独自通貨があれば他国との間で通貨の取引レートが決定されなければならない。大阪が独立した時に銭(ぜに)を通貨単位にしたとする。すると1ぜに=1えんから取引が始まる。

 

国内は勝手に値段が決定すれば良く、海外と取引する時にレートで計算するだけだ。1ぜに=100どるだとする。この時、1ぜにのものを1どるで売るとすれば100個数を売って初めて100ドルが手に入る。その結果として1ぜにと同等とすれば、100個で1ぜにの商品という事になる。

 

海外に売って儲けを出すのは、国内のお金に変えた時の値である。同じ個数を同じ値段で売ってもレートが変動するので昨日よりも高くなったり安くなったりする。この時の得た外貨をどのタイミングで自国通貨に変換するかで儲けは変わってくる。

 

さて通貨がある所に国境がある。大阪国と接する場所に日本は国境を設定する。そこで物の出入り、人の出入りはすべて管理されなければならない。

 

そこで困るのが高速道路網と鉄道網である。この辺りは島国の単一国の人間にはイメージしにくい。大陸系の人たちには自然な事だろう。

 

日本国としては嫌がらせをしなければならないから名神高速道路も中国道も大阪を迂回するルートで引き直す。大阪へ通ずる道は全て閉鎖する。税関を配置する。新幹線も迂回する新しいルートを作る。東京から博多まで大阪には停止しない。大阪国に入りたければ、在来線で国境を超えるのである。

 

もし新大阪駅に新幹線を止めてくれという事になれば、新大阪駅は国際線のターミナルと同じ扱いになる。新幹線は国境を超える鉄道になる。大阪国を走っている間は国外を走行する列車である。

 

さて、兵庫県から大阪国に働きに行く人は毎日税関を通過しなければならない。また大阪の企業は大阪の通貨で給与を払うから、兵庫や奈良に住む人は、通貨レートの変動で給料が変わる。その変動する給料で日本の住民税を払わないといけない。

 

ここで、大阪の府知事(大阪国元首)が、国境は自由に出入りできるようにしたいと言い出せば話は大混乱である。通貨は異なるのに、物と人間の移動は自由にするなど論理的にはありえない。

 

それはアメリカとカナダの国境よりも更に緩い規制になる。そんなのを試した近代国家はないだろう。中国の一帯一路が物流の拡充ではなく、単に中国の借款戦略であって、その背景に元の支配地域の拡大であるとすれば、その本質は金融帯の確立である。

 

貨幣の流通は物流と比べれば管理しやすい。だが、通貨の電子化のみならず、仮想通貨が実体化すれば、これらの状況は大きく様変わりするだろう。

 

イギリスのNOの根本は自由貿易ではあるまい。彼らの自立心の問題だろう。様々な理由を並べ立てるが、イギリスもまた自由という事への強烈な信仰心を持つと考える。流石にアメリカのアルファバージョンである。

 

EUに参加する事はベネフィットよりもリスクの方が大きい。自由な物、金、人は、自分たちの自由を脅かす。その先には日本でいう首都一極化が起きて当然である。それがイギリスでないなら、とても受け入れられない。互いに異なるスピードとリズムで国が動いている。この速度差が問題である。

 

国境を超えてモノ、カネ、サービス、ヒトが動く。それ以外は自由が現在の原則である。EUに加盟するとは、動く自由を認めるという事であって、それは別の自由を放棄するに等しい。

 

EUからの離脱とは移動の自由の放棄に等しい。アイルランドの国境でモノの移動の自由のみを認めて欲しいのがメイ首相の意向のようだが、EUはこれに反対している。つまり自由にはセットがある。都合のいい自由の選択などない。やるなら全部だ。

 

つまりルールは自由のために不自由を作り込む作業である。何かを認めるならEUのルールに従わなければならない。だが、イギリスのルールではそれは下が得ない。

 

単に貿易だけならEUとの間で自由貿易協定でも結べば済むではないか、という話が結論になるが、どうもそう簡単には済まない。それがEU分裂を持ち込まないか。いいとこどりとは、自分たちが食われる側になるに等しい。EUはまだそれを認めないだけの強さを持っている。

 

いずれにせよメイ首相の懸命にはIRAの惨劇があるはずだ。イギリスが抱える歴史的な悲劇を解決するのにEUの誕生が必要であった。それを再び閉ざす事は、つまり Brexitは、ベルファスト合意の破棄さえありうる。メイ首相の腐心はその一点だけにあるように見える。彼女は歴史に名を遺す宰相になる。

 

その結果の如何を問わず。