福島第1原発:汚染水処理またトラブル 本格稼働ずれ込む

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東京電力は12日、福島第1原発で15日の本格稼働を目指していた高濃度放射性汚染水処理システムの一部で、水がうまく流れない問題が新たに見つかったと発表した。

 

弁の不具合が原因とみられ、修復を急いでいる。同システムでは、配管の継ぎ目からの水漏れとポンプの作動プログラムに不具合が見つかったばかり。新たな問題への対応で、稼働前の試運転を始められないままだ。

 

問題が見つかったのは、汚染水中の放射性セシウムを吸着する装置(米キュリオン社製)。11日夜、海水を使って通水試験をしたところ、4系統のうち1系統に水が流れないことが分かった。

 

12日の調査で、自動開閉する弁の不具合が原因と判明した。このため東電は、制御プログラムに問題などがないか調べている。

 

水漏れの可能性がある配管の継ぎ目48カ所の補修と、ポンプの作動プログラムの修正は12日までに完了した。

 

東電は当初、この装置を含む処理システム全体の試運転(機能試験)を、低濃度の汚染水を使って5日間程度実施し、15日に本格稼働することを目指していた。

 

しかし、不具合が相次いで見つかり、試運転にも入れない状況だ。問題を解決して13日から試運転を始めたいとしているが、本格稼働は早くても18日以降にずれ込む可能性が高くなった。

 

原発敷地内にたまっている高濃度汚染水は推定で10万立方メートルを超えている。原子炉を冷やすための注水により、汚染水の量は日々増え続けており、あふれる恐れがあるため、汚染水中の放射性物質を減らす処理が急がれている。

 

経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は汚染水処理システムの稼働に向けた準備が遅れ気味になっていることについて12日、「装置はきちんと動くまでに何回もやり直しをするものと理解しており、やむを得ない部分もあるが、(トラブルは)計算に入れながら作業する必要がある」と苦言を呈した。

 

毎日新聞:八田浩輔、比嘉洋】

 

この文章は実に良く出来ている。文句ない出来栄えの日本語だと思われるが、これこそが、この世でもっとも醜い日本語であることを検証したい。

 

東電がどれだけ放射能汚染をしようが、新聞が垂れ流す醜い日本語が人々の心を汚染する事と比べれば些細に過ぎない。

 

たかが100年、その土地に家が建たないだけではないか。彼らがこの国の根幹を言葉により腐食している事と比べれば。


この記者は、文章の基本構成に手を付けたりはしていない。接続詞や、最後の言葉などを巧みに用いて、印象操作を施している。

 

文章が如何にも客観的である振りをしながら、巧みに主観を織り込む。その技術を養成する事が、新聞記者の訓練だと考えている。

 

だがその根本にある価値観は単純極まりない。事故は悪い事、遅れる事は悪い事、トラブルは悪い事。子供でさえ持たない晴朗なるまでの陳腐さ。価値観。

 

報道は真実を伝えるべきである。だが、それをどう判断するかは読者に委ねるべきだ。そのために出来るだけ公平な情報を提供する。だから自分の意見を書くときはきちんと記事の中で変調させる必要がある。

 

秋山真之の報告書が名文すぎて、それに似せた書き方をする人が増えてきて次第に報告書の内容が名文調だが曖昧模糊となり、意味の伝達に齟齬をきたした、そういう話を聞いた。

 

名文が悪いわけではない、しかし、何を伝えたくて書くのか、目的を失えば如何なる美調も迷走である。

 

もし国民が判断することを放棄したら?判断を新聞に求め、それを新聞の中に探しているとしたら。それでも価値観や意見を入れるなら、それを宣言してから行うべきだ。常に文章は、私はこう思う、あなたはどう思う?この態度を崩してはならないのではないか。

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東京電力は12日、福島第1原発で15日の本格稼働を目指していた『計画していた』高濃度放射性汚染水処理システムの一部で、水がうまく流れない問題が新たに見つかったと発表した。

 

弁の不具合が原因とみられ、修復を急いでいる。同システムでは、『既に』配管の継ぎ目からの水漏れとポンプの作動プログラムに不具合が見つかったばかり『ている』。新たな問題への対応で、稼働前の試運転を始めることができないまま『状況』だ。

 

問題が見つかったのは、汚染水中の放射性セシウムを吸着する(米キュリオン社製)。『米キュリオン社製の装置で、』11日夜、海水を使って通水試験をしたところ、4系統のうち1系統に水が流れないことが分かった。

 

12日の調査で、自動開閉する弁の『弁の自動開閉に関する』不具合が原因と判明した。このため『これについて』東電は、制御プログラムに問題などがないか調べている。

 

水漏れの可能性がある配管の継ぎ目48カ所の補修と、ポンプの作動プログラムの修正は12日までに完了した。

 

東電は当初、この装置を含む処理システム全体の試運転(機能試験)を、低濃度の汚染水を使って5日間程度実施し、15日に本格稼働することを目指『計画』していた。

 

しかし、不具合が相次いで見つかり、試運転にも入れない状況だ『を実施するには至っていない』。問題を解決して13日から試運転を始めたいと『始めることを計画』しているが、『試運転の実施が遅れるため』本格稼働は早くても18日以降にずれ込む『遅れる』可能性が高くなった。

 

原発敷地内にたまっている高濃度汚染水は推定で10万立方メートルを超えている。原子炉を冷やすための注水により、汚染水の量は日々増え続けており、あふれる恐れがあるため、汚染水中の放射性物質を減らす処理が急がれている『る』。

 

経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は汚染水処理システムの稼働に向けた準備が遅れ気味になっていることについて12日、「装置はきちんと動くまでに何回もやり直しをするものと理解しており、やむを得ない部分もあるが、(トラブルは)計算に入れながら作業する必要がある」と苦言を呈し『述べ』た。

 

『』部分が手を加えた文章である。ほんの些細な言葉使いの違いでもニュアンスは大きく変わる。

 

どうだろう、印象は変わっただろうか?