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車田正美といえば「リングにかけろ」。

 

剣崎とのスパーリングまでは「がんばれ元気」と並ぶ少年boxing時代の双璧である。また吉田松陰の東北遊学の脱藩話は学習漫画に匹敵する。

 

もちろんギャラクティカマグナム、ギャラクティカファントムなどのネーミングのセンスの良さは秀逸で、たぶん日本一。つまりは世界一。痴呆にになっても、このふたつの言葉だけは覚えているんじゃないか、というくらい。

 

ボクシング漫画の記憶を辿れば

全てはここから「あしたのジョー
あしたのジョーと並ぶ双璧「がんばれ元気」
第一話と最終話の繋がりは誰にも読めない「リングにかけろ
デンプシーロールで有名な「ナックルNo.1」
湘爆ぽさがそこはかとなくする「タナトス
そして好作「Big hearts」がある。

 

もちろん、他にも沢山あるが、これらの印象が残っている。なおボクシングより恋愛に重きを置いた作品は除外している。


さて、しかし車田正美の真骨頂は「リングにかけろ」ではない。

 

やはりそれは聖衣(クロス)の発明。ゴールド、シルバー、ブロンズの階層を作りながら、ブロンズの最強はゴールドの最強に勝るという、三すくみの構造、次々に新しい聖衣の創造、そしてもっとも秀逸なのは、シルバークロスの存在感の薄さ(もちろん、元ネタはオリンピックのメダルなんだろうけど)。

 

幾らでも物語が作り出せる世界観の送出にある。

 

この構造は他で説明する時の好例に使える。例えば囲碁。井山祐太って何者と言えばゴールドクロスを5つくらい着込んだ強い人とか、山下敬吾は?ゴールドセイントのアルデバランって感じかなぁ。

 

ラクルの試験の階層は、プラチナ、ゴールド、シルバーとなっているが、この辺りの工夫、おぬし、聖闘士星矢を意識して変えて来たな、って感じがする。もちろん、そんなことはなくて、たぶんオリンピックのメダルを意識したんだろうけど。

 

兎にも角にも聖闘士星矢の造形は素敵だという結論である。