中国公船4隻が領海侵入=今年3回目―沖縄・尖閣沖

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はて、中国の狙いは何かと考える。

 

ひとつに先の大戦での日本の敗北は貴重な教訓であり、それと同じ状況を再現できれば日本は自発的に勝手に倒れるだろう。このシナリオは基本戦略のひとつとして掲げていると思う。

 

嘗ての日本は明治維新の早い時期からロシアを危険視してきた。それが明治維新の原動力といってよく、40年かけての準備が日露戦争の勝利として結実した。だが、この勝利をもってしてもロシアの脅威を払拭することあたわずで、それがその後の日本の動向を決定した。

 

時に兵器が大発展している時代であり日進月歩の軍隊は、数年で新式を旧式どころか、まるで役立たずにする。そのような時代において日本陸海軍の実力は、装備と物量の前で、日露戦争時よりも優位になったとは言えない状況であった。日本はジリ貧に向かっていたのである。

 

その危機感が満州国の建国に向かわせた。それがそのまま日中戦争への泥沼につながる。橋頭保を国外に持っておきたいというのが日本の基本戦略だったわけである。

 

しかし、ここで注目しなければならないのはこれはロシアの脅威に対して、あくまで日本は単独で対抗しようとしていた点である。この単独という方針が、結局は日本の世界的な孤立化を深める。

 

ヨーロッパやアメリカは、札束で相手の頬を打ち付けてでも自分たちの仲間を作る。日本にそういう戦略はなかった。あったとしてもナチスであった。戦略眼がないというレベルの話ではない。絶望的なまでにセンスが欠けていた。

 

その外交戦略を壮大な挟撃作戦と呼んだ所で、絵にかいた餅であった。梅見心地の少女みたいなものであった。これを別の言い方をするなら、当時の日本には地球の反対側にしか友好国になれる国がなかったという事である。

 

中国大陸を世界中の列強が狙っていたのは明らかであって、日本はアメリカと手を携えて進出すべきだったのである。実際はアメリカを排除した。そうなればアメリカが非協力的、敵対するのは当然の帰結であって、アメリカの本心は中国から撤退しろではあるまい。その利権をおれにもよこせ。できれば7割くらい。だったはずである。

 

日本にとってロシアの脅威が完全に払拭されるのは、戦後にアメリカと同盟を組んだ時である。その時点をもって、明治以降の目的は達成された。

 

日本の外交下手や友好国が少ないのは、中国からすれば研究すべき弱点であり、友好と脅迫を使い分け、日本を孤立化させる。当面の最大の脅威は沖縄の米軍であろう。これを追い出すためにはどうすればよいか、ここが最大の課題だ。

 

そのために様々な手段を講じることになる。日米同盟にひびを入れる、沖縄の民意を煽る、アメリカに撤退したいと思わせる、アメリカの経済力を失墜させる、台湾を併合する、沖縄駐留の意味を失わせる。そういう政治的状況を作り出したい。

 

日本としては沖縄県で争っている間が楽観できる。彼らの主張が一枚岩になる方がよほど危険である。行ったり来たりを繰り返すのは、振動として安定しているので、その間に時間を稼ぐことができる。

 

いずれ地政学的、技術的、世界戦略的、経済的な理由により沖縄県の基地を無用となろう。それが実現する国際条件を推察するのもまた面白そうな話だ。

 

中国は目的達成のためになら中米同盟さえ検討するだろう。中国という驚異に対して、日本人がヒステリーを起こすのは中国のウェルカムであり、それが有効なら幾らでも尖閣諸島にもちょっかいを出してくるだろう。

 

ただ船を走らせるだけである。もし間違って手に入ればよい、何も変わらなくても何も失っていない。地域のパワーバランスが崩れれば、各国に戦略転換を強要する。そこが中国の狙いであって、経済と軍事を上手につかってアジアに巨大な中国圏を形成しようとしている。

 

日本には軍備を拡大増強させるのが良い。仮に加藤友三郎のビッグ7や米ソ軍拡競争のようなチキンレースに参加させれば、それだけで経済を圧迫するはずである。片や国家予算の大部分を福祉に投入する日本と、貧乏、貧困、それは豚の餌かと言える中国では、中国が有利である。軍事的発言が巨大になれば、もはやアメリカとの同盟は不要という論調が生まれるかも知れない。

 

中国の狙いはただ一点、政府が無視できないくらいに世論が炎上する事である。そういう脅威を与え続けて煽り続ければ、何かが起きるかも知れない。そういう中で、我々が最も恐れるべきは国際社会の中で孤立化することである。我々は建国以来、どのような同盟を組んできたか。

 

新しい方針が必要である。戦国時代にあれだけ巧みな同盟、裏切りを展開した日本人が国際社会で立ち振る舞えないのが不思議である。どこで失ったか。