デジタル庁がエンジニアに求める“必須スキル”は妥当? 求人要件に賛否 同庁に経緯を聞いた

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「公的機関で使用するID管理基盤の設計・開発」「連携サービスとの相互運用・相互接続、プロビジョニングを行うサービスの設計・開発」

 

必須スキル10項目。

・Webアプリケーション開発経験5年以上
・TypeScript、React、Vue、GitHub等を用いた開発経験2年以上
・DevOpsの設計・開発、アジャイル開発経験2年以上
C#によるWebバックエンドアプリケーション(MVC、Web API、Entity Framework)開発経験3年以上
パブリッククラウドサービス(Azure、AWSGCPなど)でホストするシステムの開発経験2年以上
・データベース設計経験2年以上
・Web・モバイル技術、及び大規模サービスの運用に対する確かな理解と技術を深く掘り下げる能力
・現在においても、開発・実装業務に直接携わっていること。
・複雑で不慣れな実装、及び開発言語にも素早く適応できる柔軟性
・英語で書かれた技術文書を理解できる語学力

 

この募集要項は、頭のいい官僚がネットを見て適当に寄せ集めて作り上げた印象である。官僚の最大の能力は何か。もちろん清書する能力である。政治家の湧き散らす言葉を一般で通用する文書に書き換える事、その点で全く隙のない文言で防御する事。そういう能力に長けた人たちが募集要項を作るのである。一般人をだまくらかすなどちょろい。

 

日本官庁は完全にインターネットに乗り遅れてIT対応できない恐竜と見做して間違いない。よって滅びるのが前提としても、その次を担うねずみの祖のような哺乳類たちが官庁の中心となれるのは数十年は先であろう。その頃には時代遅れであるのは明らかである。もうAIに頼むから人間必要ねぇってなってるし。

 

両棲類から単弓類と双弓類に派生し、二億年前には哺乳類(の祖)は出現していた。よって時代遅れなど時代遅れの考えであるからITへの対応に失敗した所で、別段欠点でも欠陥でもない。しかし、そのような人たちと一緒に仕事をする苦労はあまり喜ばしい経験ではないだろう。

 

これだけの資格を持ちながら、断言しよう、これで採用された人が最初にする事は、紙で資料を受け取る事である。それを読んで誤字脱字を探すになる。理解し質問がある場合にはWORDで文書を書く事は拒否されない。もしかしたら一太郎も可能かも知れない。先進的!

 

それを紙に印刷して文書番号を採番し紙に書き込み、メールで査閲承認に送るのである。メールと言っても電子メールの事ではない。添付して送るではない。印刷した文書を封筒に入れて送り先に査閲者のボックス番号を記入してフロアーの奥にあるホルダーに置いておく。一日に何度かはメールおじさん/おばさん?その他の誰かがそれを持って適切な席に配達してくれる。つまり組織内郵便局の制度である。電話の内線の紙版だ。

 

数日したらその返事が帰ってくる。封筒を開けるとそこには付箋で添削された内容が赤字でみっちり書いてある。それをまた清書する。WORDを開き指摘点を書き込むのが合理的であろう。そして文書を改訂したら印刷してまたメールする。

 

いやそんな馬鹿な。ちゃんとした先進的な部署もあるんだろう?もちろんここは日本である。ちゃんとした部署もある。そこではWORDではなくEXCELが使えるのである。

 

要求された資質の10%でも発揮できたなら良い職場だと思う。そこにいる人たちは全員が全員とも無能などではない。キャリアはノンキャリアに気を遣うし、ノンキャリは若いキャリアを立てて立派になって欲しいと願っている。

 

しかもひとたび問題について議論を始めれば流石に最高学府が送り出した人材である。問題意識もその解決策も立派なものである、人間としても実に尊敬に値する人たちであると認識できるだろう。それは十分な刺激を受けるはずだ。どこにも馬鹿などいない。問題意識も十分にある。

 

しかしもちろん、そんな彼らでも使っているパソコンは10年前のモデルである。2GバイトのメモリでWindows10を動かしている。いやよく見たら8.1かも知れない。起動まで30分もかかるんだよ、いやになっちゃうねとコーヒーを片手に笑うしかない表情をしているはずである。

 

個人持ちの最新式のスマートフォンは入室時にボックスの中に入れなければならない。それがセキュリティ要件である。支給されるのは折り畳み式の携帯電話。これでもかつての最新鋭である。

 

直接話をした方が話しは早いと思っても相手がまた忙しい。会議だ、会議だ、会議だ、会議だ、会議の合間にやっと仕事して、また会議だ、会議だ、会議だ、机にいるかと思って覗き込めば、印刷した紙を左において、右にある方眼紙に万年筆で清書している。

 

なにしているんですかと聞けば、手書きの方が心がこもっていると言われているからさ、と写経である。そしてこれでよしと書き終えたらFAXで送る。もし添削でダメ出しをされたらまた最初からやりなおし、そりゃ真剣にもなる。

 

そういう環境でプログラミング技術?データベース?プログラムしたコードを印刷して持ってゆく事10回。データベースの中身をEXCELに移す事15回、ツールは使えない。紙に印刷されたデータ以外はアクセス不可である。

 

会議の場ではいいアイデアだ、参考にする、流石に現場の人は良く知っているとGoサインが出ても、次の会議では残念だが、駄目になった、と言われる事10回、危険ですと指摘したセキュリティが不採用となって野ざらしになる事15回。

 

契約が満了する頃には書いたWORDの文書よりもEXCELを埋めたセルの数よりもC#のコード行よりも印刷した紙の枚数に驚愕している自分がいる。

 

そういやレビューで指摘されたのは変数名の最初が小文字がいいか大文字がいいかの大議論だったな、と考え深く感慨に浸るだろう。

 

それでも日本でもトップクラス、つまりは世界でトップレベルの技術は入手しているのである。印刷時の余白の綺麗さ、mm単位で制御した罫線がきっちりしている印刷物、そのための工夫と技法、帳票を美しく仕上げる技法は世界のどこに出しても恥ずかしくないレベルで十分に身に付いている。

 

必須スキルとは求められる時に備わっている技術の事ではない。去る時に身に付いている技術の事である。