「テルル129m」初検出…取水口付近の海水

テルル129m」初検出…取水口付近の海水
(読売新聞 - 06月29日 21:27)

 

テルル129m(129mTe)は33日の半減期で崩壊して別の元素になる。中世の人たちが夢見ていた錬金術がこうして身の回りで起きているわけである。彼らの今ここにある以上、別のものからも作れるはずだ、という直観は完全に正しかった。


しかし、そのためには化学ではなく物理学。

 

で、別の元素になるのが沃素129(129I)で1570万年で半減しながらキセノン129 (129Xe)になる。129Xeは安定核種なので放射線は出さない。長い旅である。

 

1570万年も十分に長いが、さてさて上には上がいるもの。

136Xeは9300京年、128Teが7.7𥝱年(兆、京、垓、の次:じょ)

 

算出方法は知らないが、可なりの誤差でさえ誤差の範疇である。

 

www.wdic.org

 

放射性元素については以下も詳しい。

ndrecovery.niph.go.jp

 

外部被曝についてはシーベルトで判断するけど、内部被曝では、核種が重要になる。

 

これは、生物半減期がどの程度であるか(要は排泄)、その各種のエネルギーはどの程度の力か、というわけで半減期が短くともマグナム一発、どかんというのもあるし、スポンジでさわさわ触るような程度でも、長期間となる場合もあるし、さて危険なのはどちらだという事になる。

 

加えて放射性物質ではあるが、エネルギーが極めて小さくそれが生み出す活性酸素の量は無視できる、または放射線のない生活と変わらないレベルというものもある。

 

例えば、人の体には40Kが必ず含まれており、太陽系外生物がどうかは知らないが、40Kが地球由来の生命の証拠には使えそうである。

 

で、人体に含まれる40Kは0.1mSv/y弱程度の内部被曝でこれと比較すればだいたいの概要は把握できる。

 

放射性核種が次に何になるのか、それはどの程度のエネルギーと半減期を持ち、どの程度の生命へ危険なのか、シーベルト表記で把握してゆく。

 

どれだけこの国の人がそれらの情報を欲しているか、どれだけこの国の人がそれらを纏めきれていないか、新聞でテルルについて書かれているが、実際にその意味を知る人は一部の専門家だけだろう。

 

どういう反応を経由して生まれてきたのか、どのように崩壊してゆくのか、その長い道程を知る者は少ない。

 

原子は、己が生まれ変わるために放射線を出す、それは忌むべきようなものではなく、自然界の反応である。神様がそう設計したのか、または、物理的特性によりそうならざる得ないかは知らない。

 

テルルとはテラ(地球)から来た言葉であるらしい。Te は1782年にF.J.ミュラーにより単体分離されたらしい。古くから知られている元素なんだねぇ。