なんとも遠くにある話だ。銀河系、直径10万光年、高さ1.5万光年。
銀河の中心から400光年のガス柱が観測された。銀河系の中心部にはいて座A*がありここから宇宙ジェットが噴出している。
さて、人類は未だ太陽系の外どころか月の外にさえその活動域を伸ばす事ができていない。幾つかの探査機は太陽系に越えようとしているが。
太陽系では太陽風が届く限界線をヘリオポーズと呼ぶ。太陽系の銀河公転進行面にはヘリオポーズと銀河がぶつかりあう境界にバウショックと呼ばれる衝撃波面が形成される。
その内側をヘリオシースと呼び、その内側に球面の末端衝撃波面がある。ヘリオシースにはエッジワース・カイパーベルト天体があり、ヘリオポーズの外側にはオールトの雲がある。
人類がここ地点に足を踏み入れるのはまだ先の事である。人類の当面の目標はまだ月から火星くらいである。確かに月面にはちょっと遊びに行ってきた。どうみても子供のお使いよりも小さな旅であり、小さな一歩ではある。
one small step for man, one giant leap for mankind
縁側から庭に出て庭石にタッチして帰ってきた程度のものではある。火星への有人飛行も魅力的である。巨大な惑星間飛行船と生命維持装置、航海途中における補給システムなど話題と構想がてんこ盛りである。
しかしそれは最初の到達点ではない、と考える。以下に人類の第一次宇宙進出計画の到達点をでっちあげてみる。
第一次進出計画の最終目標は、地球以外の惑星に地球生命体を送り付ける事である。もちろん、流罪ではあるまいし、ヒトを送りはしない。
現在では木星の衛星、エウロパが水と熱水噴出孔により生命存在の公算が高い。ここには地球の深海と同等の生命体が存在する可能性がある。
そのための準備である。
- 一つにはエウロパに生命体が存在するか、どうかを判定する
- もし生存していたら地球型生命を送るのは中断する
- 彼らを地球に持ち帰り組成を調べ、生命システムの型を研究する
もし存在していないなら次の三段階によって達成する。
まずはエウロパでの生命探査であり、これはサンプルリターンと無人機の両方で行う。
- 海底地図、地質調査の実施
- カメラ、探索船による調査
- サンプルリターンによる詳細の確認
次に生命輸送である
- 生命体の選出
- 輸送方法の検討
- 生命の送出
この計画は地球型生命体の宇宙進出の最初の計画となる。人類の有人飛行は宇宙船の開発が欠かせない。というかこれくらいやれないと人類が宇宙を旅するには非力過ぎる。未だ人類は息を止めて海に潜る程度の事しかしていない。まずは宇宙船の開発である。
しかしそれ以上に地球型生命を宇宙に連れ出す事。これがこの星では人類だけが可能な事である。
様々な生命が進化し、適用したが、ついに宇宙に飛び出す仕組みを手にいれる事は能わずであった。ただ宇宙に出ても生命維持できる生命は発見されている。
地球のあらゆる生命が、宇宙に飛び立つための準備をしてきているのだ。我々は彼らを宇宙に連れてゆく、それは義務でもあり使命でもある。これが第一のミッションと思われる。
まずは木星へ、そしてあらゆる惑星へ、遠く異なる恒星系惑星へ。
我々は地上に住む生命の頂点に君臨する生物ではない。我々は、その最下層から彼らを宇宙に旅立出すために生まれた、生かされている生命である。
進化の系統樹が環境への適用なら、地球型の生命が宇宙に進出するのは自然の流れだ。宇宙に進出するための能力は人類の力で実現する。しかし宇宙に進出する主体が人類である必要はない。
海から淡水へ淡水から陸地へ生存圏を拡張した延長に宇宙もある。
この星の資源と天体としての健全性の枯渇と、他天体への進出、その実現は、どちらが早く来たるであろうか。