<福島第1原発>一律補償に不満噴出

損害賠償を行う当事者が東京電力であるかどうかは別にしてもその賠償が月額10万と言う事はない。このような見積もりで済むのなら原子力発電のコストが低いのも道理である。


二年で240万、10年で2400万では、少なくとも桁が二~三は足りない。つまり被害賠償まで考慮に入れた場合、原子力発電所一基に対して積み立てておくべき保険料は40兆円でも足りません。

 

彼らは安全という観点には立ちながらも、コストを最小とするという強いバイアスが働いていました。海を行く帆船が常に風を受けて航海に影響するように。作業員に払うコスト、被害に対する補償、いずれもコストの見積もりに影響します。


しかし彼らは現実的にもっとも小さいコストを目指しました。どこから捨ててゆきましたか?。文句を言わない者、反対の声が小さい者と取引する。それが現実的でないならどうするか、費用を見直すか、そうでなければ現実を曲げるかです。

 

そうした結果がこうなりました。果たしてそれは正義という名に相応しい行為でしょうか。

・・・検察側の最終弁論が終わった。

 

被告人、東京電力の各事案について陪審員のみなさんは評決に達しましたか?

はい、裁判長。


以下にそれぞれの訴追について述べます。

 

◆第一の訴追:津波に対して堤防が低かった不作為について。

東京電力には、何回か堤防を高くするきっかけがありました。しかし当時予想される高さに対しては十分な高さをもち、また更に高い津波がありうると問題意識を持ち検討も開始していました。

故に無罪。

 

◆第二の訴追:非常用電源を地下に設置した件について。

地下でない場合、床の強度や床が抜けるなどの不安要素がありました。建設時の設計においてもハリケーンなどの被害が来にくい地下の方が安全度が高いと判断しました。しかし電源の二機とも同じ地下に置く必要はないし、違う階や離れた場所に置くなど安全性をより高める施策は可能であったし、当然検討すべき事項でありました。

これにより有罪。

 

◆第三の訴追:ドライベントにフィルターがない件について

ウエットベントを行うのでドライベントを使う気がなかったためフィルタを付けていなかった話ですが、しかし、ドライベント機能があり使う可能性がある以上、つまり、殆ど使われないとは使われる事があるの意となる事から、フィルタは付けるべきであった、付けなければならなかったとすべきです。フィルタがあるが故に故障する可能性も考えるべきですが、それは必要なコストに含めるべきです。

よって有罪。

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◆第四の訴追:外部からの送電線が1系統しか無かった件について

電力会社にあるまじき手抜きと言われても仕方ありません。
有罪。

 

なお鉄塔が倒れた事については地震で倒れる事もありうる事であり仕方ない事項と考えられますので無罪。

 

◆第五の訴追:非常用復水器(IC)を停止した件について

これが事故の未来を左右する重要な装置と考えられます。しかし、現場の作業員は復水器の冷却水が全て失われて空焚き状態になることを怖れてこれを停止するに至りました。

 

この装置について最初の段階で気付かなかった事はミスに違いありませんが、これはその前段階での教育、訓練時のシナリオの作成、などに問題があると言うべきであり事故が起きてから議論する内容ではありません。

この件については、評決不能としました。

 

◆第六の訴追:全電源喪失、ステーションブラックアウト(SBO)が起きた事について

機械で構成されている以上、これは起きうる事象です。その後に起きた問題と起きた事の責任は別の問題として考えるべきです。

起きた事について、被告は無罪です。

 

◆第七の訴追:事故当初、作業員に満足な食事、住環境を与えなかった件について

大量の毛布の持ち込み、東京やそれ以西で購入した弁当を配布することは10人程度の専属の人員を確保し車を手配すれば可能であったはずです。しかし彼らはその作業を誰もかもが怠りました。非人道的で想像力の欠落した許さざる対応です。

激しく有罪。

 

◆第八の訴追:社長が自殺しなかった件について

責任の所在は自殺によって取るべきではありません。それは個人の資質や精神状態によって決まります。それは不幸です。我々は不幸を望みません。

無罪。