原発改修作業で偽装請負の疑い 工藤会系社長ら逮捕

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ヤクザと原発という本が店頭に並んでいる頃から原子力発電所の運用には巨大な利権により裏社会との関係があるらしいと聞くようになった。

 

勿論、多くの日雇いが集められているという話は福島第一発電所の事故よりも前から話には聞いていた。恐らく元受けである電力会社や原子力機構が一人当たりに用意している予算はけっこうな額であると思われる。

 

事故を受けてのニュースで六次受けくらいまでの企業が絡み、その間は手数料を盗み取るのが仕事なので、これは新しいマネーロンダリングであるが、これだけの企業が関連してくるのはそれだけ人間を集める苦労が忍ばれるからでもある。

 

それでも集まらないなら、集める方法を知っている人たちが必要とされる。もしその人たちが暴力団関係ならばその間に立つ人も必要である。毒薬も放射能も薄めていけばそのうち無毒になり無視できる。

 

こういう構図は暴力団排除条例が出来た事で更に難しくなっただろう。暴力団排除条例によればそういう人達と会話(密接交際者)しても捕まるという。とすれば今のままでは東京電力暴力団関連企業になる。

 

福島第一発電所での求人では金額は50万~20万円らしい。10の中抜きが20万づつ抜いたとして一人当たり50+20*10=250万となる。

 

これでも発電所での労働賃金としては安すぎるだろう。労働者は正当な金額を貰っていないのも問題なら、それと吊り合う額を出していない東京電力、中抜きを黙認する労働行政、全員が不正に加担する者である。中間にいる企業にとっては大変に魅力的な金額であろう。座っているだけで相当な金が手に入る。この現場だけで数千人の雇用が発生している。

 

つまり何が言いたいかと言うと、原子力発電による電気のコストは安いというのは幻想である。その安さを支えていたのはこのような構図があったからだ。

 

これを適正にするならばつまり中抜きを許容するにしても3次受けくらいまでに制限すれば支払う金額が上昇し請負企業の手数料も上昇するであろうから人件費は今の額では収まらない。原子力発電における運用コスト(つまり電気代)はもっと高いはずである。という当然の疑問が発生する。

 

原子力発電の発電コストを下げていたのは浮浪者や日雇いの人かも知れない。それではフェアな労働形態とは言えない。逆に彼らの大切な仕事さえも奪うのかという論点も残る。もっと金額を出せば、他の人たちも集まってくる。

 

いずれにしろ、原子力発電所で働いている人達の給料が安すぎやしないか、というのはもっともな問題だと思う。

 

月50万円は有り得ない。それを知っていて見ぬ振りをしていたのなら東京電力は犯罪者である(何の?)。ざっくり感覚で言うなら月手取りで100万じゃないか。それくらいの相場でなければ一般の人が来るものだろうか?


事故処理なら月最低でも500万、建屋付近の作業なら1000万は払うべきじゃないか?で、ここからが肝要な所なのだが、なぜ新聞やテレビのニュースはごく普通に発想する疑問について何ひとつ書いてないのであろうか。


何故そういう「当然あるべき疑問」に至らないのであろうか。そしてたまに徹底検証とか特集とか言って、どうでもいい感情論や責任論に終始するのだろうか。

 

幾つかの知らなかった情報を流してくれるのはいい。新聞もテレビの社会インフラの一つである。だが、と思うわけだ。仕事をしているが、十分ではない事も多い。

 

それは既に旧式のインフラなのだろうか。