新聞記事はある意味では情報が欠落するから、足りない情報の中から何かの結論を見出さなければならない状況が起きてしまうのだけれども。
野田は、今すぐ消費税を上げると言い、小沢は、その前に遣る事があると言う。
◆野田の考え
これは分かり易い。
お金が足りない、行政が使えるお金を増やすには税しかない、今の経済状況で税金が増える事が望めない以上、税率を上げて増やすしかない。
国民受けが悪いから、行政、司法、立法府の人数と給料も下げるし、無駄な公共事業も減らす、それで納得してもらいたい。幸い、ギリシアがああいう状況になり、国家財政への危機意識も高まっている。
◆小沢の考え
お金が足りないのは知っている。その多くは税金の有効活用が出来ていないからである。コストを下げれば同じ行政サービスでもお金が浮く。それによって不足分をカバーすればよいのだから増税という話にはならない。
行政改革をしたと言うが、それは制度を変えずに運用を見直しただけの事だ。制度を大きく変えなければ意味がない。制度疲労は制度の構造的な無駄なのであって、運用では構造の欠陥を解消できないのは当たり前だ。
増税はそれが済んでからやるべき事だ。
◆考察
これはなかなか面白い矛盾だ。いかんせん、小沢の話しは、その改革を具体的にどうするんだ、制度をどう変えるんだ、その結果として変えたも本当にうまく機能するのか、その根拠は、また年月は、と言う風に野望は大きいが、いかんせん、見通しがない。
地方分権が小沢の主な対象だったと思うが、その完成するまで財政が持つ根拠は?という疑問が当然であるが、これに答えるマスコミはない。およそ当人だって詳細な計画書を持っている訳ではない。
小沢と言う人はブループリント、それもかなり初期の青図を描くのは得意だが、その後に完成させた事はない。政治家としても政策よりも政争で地位を築いた人だ。そのため、彼が描く未来図は法螺の匂いがしないではない。未知数という意味だ。
◆原発再稼働
これによく似た話がある。原発再稼働だ。
電気が足りないから再稼働するしかない、という意見もあれば、電力事業の見直しと自然エネルギーで原子力分は賄える、という話がある。
もう今すぐやらないと間に合わないのか、安全性が確認されていないのに動かすのは危険なのか、どちらも正しいように思える。問題の矛盾は良く似ていると思う。
安易な現実か、苦難の理想か、現実的な解か、未来的な解か、問題の対処か、問題の解決か。
お金が足りないから増税、電気が足りないから再稼働。増税の前にする事がある、再稼働の前にする事がある。
どちらの意見が正しいかなど分かる訳もない。未来を見通す目を持っている訳でもない。ただどちらの側の言い分にも、分からない事がある。
増税したら解決するのか、経済が冷え込めば更に状況は悪化するのではないか、風邪を引いた患者を水風呂につけて肺炎にするような行為ではないか。
原子力を再開して再び大規模な地震が起きたらどうするのか、東日本大震災によって日本全体の地盤は不安定になっている、あれと同じ、それ以上の地震が起きない保証はない。もし幸運に恵まれなかった時、電気不足などもうどうでも良くなる様な状況に陥らないか。
増税をしないとしたら、何時までか。どれくらいお金が賄えるのか、制度改革の成果はいつ出るのか、その計画と見通し。
足りない電気をどうやって賄うのか、その計画案。このまま原子力を止めていたら不足する電気にどう対応するのか、その方法とコスト。
電気が足りないのならLEDに変えればいいと思うよ、この方法論は有望だ。しかし、LEDの様に商業的に確立された手段が、他にもあるのか。それで十分に賄えるのか。
新しい電源にすれば問題が解決する、という保障はない、試用もない、地方分権すれば問題が解決する、という保障もない、試用もない、これらのどちらの方法も確立されていない試作である。ほぼぶっつけ本番という側面がある。
それと比べれば、増税も再稼働も一応の実績はある。欠陥機ではあるが試作機ではない。欠陥に対する修正は一応実施した。
試作機が活躍するのはアニメだけ、という大原則を忘れていないならば、とてもでないが今すぐ試作機に飛び乗るのは無謀だ。
そうではない、これはもう試作機ではない、既にテストは終わった十分に実践投入可能な機体である。そちらの理屈に従うなら、今後一切の新型機は投入できない事になる。それはジリ貧の思想だ。
こういう情報が入手できない。だからマスコミに不満になる。
マスコミ、政府は実戦配備できる事を知らないんです、偉い人にはそれが分からんのです。
幾ら戦場とはいえ、そこにガンダムが転がっていたとして、本当に乗ってみるのか?というのはよくよく考える必要がある。目の前にシェルターがある、あちらにはガンダムがある、どちらに向かうべきか。これはアニメではない。