円安、再び急加速=日銀総裁発言も波乱要因に

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金融については全く知らないが、金利国債、為替が基本に見える。日本の国債は大部分が国内で消費されているから破綻しないというのが一般的な意見らしい。

 

この意見を敷衍するなら海外の動向から隔離できれば安全性が高くなるというのはパンデミックと同じ考え方と言える。海外からウィルスが入らなければ安全なのである。

 

経済ではインフレ、デフレは物価の指標となる。価格が上がれば売れなくなる、下がれば売れる、これが基本だ。

 

この意見を敷衍するなら経済の強さはモノが売れている状態と定義できる。そのまま進めれば大量消費社会が最も強い経済であるという結論を得る。

 

しかし自然、特に地球環境を考える限り、大量消費型の資本主義に将来性はない事が明らかになりつつある。そのいずれもが化石燃料の大量消費、CO2の大量排出が避けられず、クリーンエネルギーなどの代替案を構築しつつあるが、方向性が同じならそれは遅延策に過ぎない。

 

CO2の問題が解決しても、大量のごみ問題、そして化石燃料の枯渇(発電だけが石油の使い道ではない)は避けられない。石油以外を使用したプラスチック(有機高分子)の開発が進んだ所で、元となる資源の大量消費はどこかで上限を向かえる。

 

そもそも現在の食糧生産が自然ではない、大量の水、大量の窒素、大量の農薬による機械化、工業化されたもので、これもどこかに上限がある。どのような科学技術であっても上限を上げる事は可能でも無限ではない。

 

その限界を迎えつつある現況において、国際社会、特に金融の流れは、完全に情報化の振る舞いである。つまりより利益の高い所に向かって流れる自然の川の様なもので、そこに人類の未来とか、ロシアの暴虐は考慮されない。儲かれば地球が爆発しても構わないというのが人類の共有意志だ。

 

日本はバブル崩壊以降に大量の負債を抱え、それに伴う死に物狂いの生き残りをやったお陰で、経済の根底に不信がある。銀行など最も信用されていない。ベニスの商人シャイロックと同様である。

 

かつ銀行が投資ではなく、ATM使用料で利益を出しているのではないかというビジネスモデルの変異によって既に経済における心臓の役割は果たしていないようである。心臓というより単なる血液の貯蔵先ではないか。肝臓みたいなもんか。

 

そこで人工心肺として登場したのが、政府と日本銀行による財政出動であってその基本理論はケインズにある。つまり、穴を掘って埋めるだけでもそこに雇用が生まれ経済は動き出すという話だ。

 

雇用があれば消費が発生する。新しい消費の発生、例えばスマートフォンは誰もが購入する新しいモノとなったから経済の牽引役になった。そして、その結果として世界中に行き渡り飽和した。飽和してしまったらこの先の起爆剤とはなりえない。

 

新しい消費が発生しない状況とは、殆どの人が現在の生活に満足しており、さしあたり欲しいものはない状況と言えるだろう。あっても常識の範囲内で終わらせるという性向で、住環境としては最も安定した満足状態と言える。エデンの園を経済学者が分析したら最悪のデフレ状態と結論づけるのではあるまいか。誰もがそこでの生活に満足しきっているのだから。

 

これを敷衍すると現在の経済を支えているものは人間の欲望という結論になる。欲望を最も持つのは若者であるから、若者がお金を持てる環境が望ましい。かつての日本経済では、若い人は給与は少なかったが終身雇用による信用があった。つまり借金可能な若者層が大量にいた。その人たちが30過ぎにもなれば、ローンで家や車を買った。その構造が定年退職するまで続く。

 

それを小泉改革で破壊してしまったので、まず若者に信用がなくなった。つまりローンが組めない。組めるのはサラリーローンだけで目先の消費だけである。次に竹中という金の亡者の手によって徹底的に雇用形態が不安定となり所得が下がった。その波をもろに受けた若者たちの消費志向は何もない中での満足を追求する方向に動く。これは自然だろう。

 

これによって大量消費型の企業経営者層の意識に対して、市場は安定的消費型の意識に変わっている。この齟齬が現在の日本国内の経済状況である。

 

これへの対策が金利抑制しかない辺りに日本経済学の敗北を見てもよく、MMTなど税はインフレを抑制するための臨機応変な活用が望ましいとするアイデアも、恐らく国内では通用しない。消費税が廃止されれば雇用者がその分だけ給与を抑制するのが自明だからだ。小泉まではバブル崩壊不況であるが小泉以降は竹中搾取不況なのである。

 

金利が低い事が為替を安くする。なぜならそのような通貨に投資しても得られる金利は少ない。各国が金利を高くする事で現在の円安が進む。円安は輸入を高くし、輸出を低くする。

 

輸出企業は儲かるといってもそれは世界で戦える商品を持っている場合だけだ。トヨタでさえ電気自動車では負け組になるかも知れない。世界は恐ろしい勢いで電化に進んでいる。ハイブリッドで最先端を行ってたのが電化に向けて最先端にいたというのは我々の幻想であったのだろう。単にガソリンインフラを刷新するタイミングを失っただけだ。

 

国内の電気自動車の普及に失敗してどうして海外で売れる車を作れるのだろう。しかも今は過渡期である。テスラもトヨタも駆逐する電気自動車が、自動運転技術が、どの国のどのメーカーから発売されるかなど誰にも分かりはしない。もしかしたら投資家ならこっそり知ってるかも知れない。絶対に口外しないと思うよ。

 

金利が為替に影響する。その影響を吸収するのに国債の更なる発行が必要。国債の発行に問題がなく上限が必要ないなら、100兆など小さい事を言わず10京などけちけちせず一年で1亥くらい発行すればいいじゃないか、というのは多分採用されない。そんな事をすると国債の利子は莫大になる。それが全ての予算を消失させる。

 

国債の利子を返せなくなれば恐らく経済は破綻する。それはロシア経済を破壊するよりも簡単だ。国家の予算がなくなる状況は夕張市をモデルに考えればわかる。まず生活可能な給与さえ満足に払えない。社会サービスはそれに連動して停止される。あらゆる国家資産は売りに出される。そういう動きをして国内にあるものを全て売って、それでも足りなければ、打つ手はない。

 

これでは恐らく再生するのは難しい。なぜなら投資ができないからだ。真っ先に教育や研究など若者に使う金が消えてしまう。そのような状況でも社会保障が最後まで残るだろう。そうなれば世代間闘争が始まる。のみならず、同世界の間でも経済格差の闘争が始まる。それが来るべき未来とは考えたくはあるまい。良くて内戦、悪くて独裁者の誕生である。

 

どうすればいいのか。緩やかなインフレが望ましいのは間違いない。しかしその原因を、その対策を、金利だけに求めるのは間違っているし、自然回復するまで財政出動するのは、癌患者に栄養剤を入れているだけではないのか。

 

自然回復は望めないと自覚する時期に入っているのではないのか。そろそろ現状を正しく認識するモデルで全員が合意できるのではないのか。そう思ったりもするのだが、経済学に関しては全くの素人、分からず残念だ。