政府、建築物衛生法で立ち入り検討=感染抑止へ換気徹底

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換気が重要というのは三月の時点でもう指摘されていた事で、何を今さらであろう。どういう指導をしてきたかは知らないが、当然、専門家だって分かっていたはずである。所が、ここにきて、政府がやる事は、換気を強制捜査の理由にするだけである。

 

これを名目に都合の悪い店舗に立ち入りし、なんら保証をしない休業へ追い込み、それで感染対策をしたと主張するのである。換気がそのための理由にしか使う気がない事が明らかになった。

 

警察は良い犬とは主人の事をよく聞く犬であるとして、政府が何をやるかを気にする気もなく夜の繁華街を潰す気まんまんである。ぺんぺん草がはえた後にどっかの国のマフィアがそのエリア一体を牛耳るんじゃないかな。馬鹿が。

 

コロナパンデミック以前の建築は、空気を密封し空調によって温度、湿度を管理するものである。高層ビルはすべてこの方法で建設されているし、恐らく古いビルも同様だし、ビル群が密集した都市部では、空気の流入だって期待できない。

 

空調には、車のエアコンと同じく外気を入れる換気と車内を密封する循環の二種類がある。今回は循環が危険という話だが、ダイアモンドプリンセス号でも循環型が主流だった。多くのビルはそれが基本なのである。つまり、危険という事だ。

 

当然、これらを循環から換気型に変えるなどそこいらの事業所単独で出来るはずもなく、また、そのような空調システムには莫大な価格がかかる。まして新宿、池袋、渋谷などの繁華街では、それをしたら今度は地域全体が密空間になるんじゃないかという懸念がある。

 

日本人の多くが屋外でもマスクをしている事からも分かる通り、だれもマスクをする理由を理解していない。なぜソーシャルディスタンスが早くに言われたかも理解していない。

 

屋外では、エアロゾルにウィルスがあっても風(空気の対流)によって速やかに稀釈される。濃度が下がれば危険性は減る。すると危険なのは、唾液などの重い飛沫で、これは距離を取れば重力で地面に落ちるので届かない(宇宙では有効な方法ではない)。これで屋外での対策はほとんど終わりである。

 

だから距離を避けられない場合はマスクをする。例えばデモの時などである。これはマスクで飛沫を絡めとる為である。だからマスクしないなら会話はしない方がいい。会話が必要ならマスクをした方がいい。

 

マスクをする事が感染防止になるのも向こうから飛んできた大きな粒子をマスクが遮断するからで直接的な吸い込みを防止できるからだろう。ま、近接戦闘になれば、当たるかどうかは半分は運である。

 

だから問題は屋内になるのだが、多くの店舗は屋内にある。だから空調システムは最重要な課題で、例えば新幹線がクラスターを生み出さないのは恐らく空調システムが理由である。新幹線は誰かが551の肉まんを食べていても匂いがそのうちしなくなる。これは、およそ10分で車内の空気を完全に入れ替えているからだ。

 

これは感染が起きにくい理由として期待できる。隣でげほげほでもされない限り、極めて感染する可能性が小さいと言えそうである。空調のフィルターを調べればどの程度の汚染に晒されており、その暴露に対する感染率が導けるはずだ。日本の医学界がこういう論文を発表しているかどうかは知らない。

 

今回の感染は濃度の問題に突き詰められるから、どの程度の濃度にどれくらいの時間暴露されたら感染率がどう変化するかという論文も読みたいがあるかどうかは知らない。

 

マスコミ報道でもこの手の話は聞かない。クラスターが発生したライブハウス、カラオケボックス、演劇場などの空調システムがどうなっているのか、そのフィルターを検査した結果、どの程度の濃度であったのか、これらの情報は知りたくても入手不可能な状況である。はたして、専門家はいま論文を書いている最中かね。

 

だから窓が開けられる所は極力開けた方がいいと考えられる。暑ければ窓を開けたままでもエアコンを掛けるしかあるまい。エネルギーの無駄である。東京電力などとんでもないと言うだろうが、原子力発電を動かす強い圧力になるかも知れないから、密にチャンスと思ってるかもしれない。

 

いずれにせよ、自然換気が可能なのは10、11月までで、冬になれば換気したくても寒くて出来なくなる。今年の夏は寒くて良かったね、というのも自然換気で過ごせるからである。つまり、空調システムをいじくり倒さない限り、この冬は乗り切れない。

 

いずれも換気はソーシャルディスタンスとペアで意味があるので、観客数や客席数などが減るのはどうしようもなく、それでは産業が成り立たないのは自明だから、結局、我々が今、専門家に求めているのは、三密でも感染率を下げる仕組みを早く発表せよであって、三密を避けてくださいが通用したのは5月まで、もう十分、研究する時間はあげただろう、という状況である。

 

循環型で濃度を削減するには吸っては取り除くを繰り返すフィルターが必要だろうが、どの程度の循環でどの程度、濃度を下げれるかは実験してみるしかない。設置場所でも効果は劇的に変わるはずだ。隣同士での接触を減らすのに、飛沫防止としては、アクリル板、フェースガード、マスクが効果的で、飲食店ではマスクが使用できまいから、アクリル板が中心となるのか。

 

それ以外にどんな方法があるのか、これは専門家たちの研究を待つしかない。下手したら来年の今頃まで発表されないかも知れないから、海外の知見に期待するしかないあるまいと思っている。

 

はっきり言えば、国内の専門家、研究者たちは、初期起動は世界のどこよりも優れていたと思うが、今では蓄音機と変わらない。なにひとつ新しい知見が出てこない。期待外れである。どれだけ気長に待っても10月。それまでに新しい何かを提供できないなら、日本の医療研究者たちは見放される。零戦で最後まで戦うしかなかった帝国海軍みたいなもんである。

 

現場の医療従事者たちが孤立無援の中、政府からの医薬、物資の手配もなく、人材も予算も不足したまま戦いを強いられるだろう。これをガダルカナル島の戦いと呼ばずして何と呼ぶか。

 

同じ敗戦にもう一度進もうとしているのである。その懸念が拭えない。