日本がTPP参加に意欲的なのはなぜか=中国人有識者

日本がTPP参加に意欲的なのはなぜか=中国人有識者

 

TPPは多国間での関税撤廃の事。国内の市場と同じように海外の市場で活動ができる、それがメリットという事であるらしい。

 

しかし、国が違えば立地条件も通貨も税も為替も法体系も違うので、互いに利益を得る仕組みがないといけない筈である。TPPはどういう流動を生みだすだろうか。

 

経済は水が流れるように、より利益の高い方へ流れる。水の流れは、地下水により陥没事故を起こすように人にはどうしても読み切れないものがある。または、分かっていても突っ込んでしまう業者、行政もいる。

 

経済において、政策の誤りが経済的な誤りを引き込み、その結果がどう国を過たせるかを読み切るのは難しい。


間違いなく、誰かは利益を見込んでいる。全員が損をする仕組みに参加するはずがない。TPPで得をするのは、関税の撤廃がターゲットになっている以上、安い製品を持つ側にあって、その戦略の基本は、国内、国外を区別せず、より安いほうにシフトするだと思われる。

 

これと同じ仕組みはどっかでみたと思ったらクラウドである。社内サーバでやっていたのを、クラウド化する、というのと国内農業は、もうクラウド化する、とは同じ構図に見える。

 

各国の産業は、クラウドを使う側と、クラウドを提供する側とクラウドが使えない三者に分類される。ある産業をクラウド化するとは内製をやめて廃止する、という考え方に近い。それにも利点はある。コストが下がる事。欠点もある。クラウドを出している先の動きに振り回される事。


例えば大地震でデータセンターがこけたらどうなるか、クーデターが起きたらどうなるか。これらは効率化を求めての集約だから、バックアップは考えておく必要がある。しかし往々にして我々は忘れる生き物である。

 

効率化による集約の反対の概念に生物多様化がある。ゴキブリ?あんなに種類はいらないんじゃないか、一種類でもいいじゃないか?という集約をしたい神様もいるんじゃないか。


ゴキブリだって地域に合わせてそれぞれが適者生存でカスタマイズされる、その結果が多様化。多様である事で生き残る可能性が高めるのが生命の基本戦略だが、集約化と多様化は凡そ反する概念というより組み合わせの妙と思われる。

 

クラウドは企業のコスト削減以外に何ら競争力向上には寄与しない。もちろん、クラウドが用意する環境を自由に使えるメリットはある。また運用コストを転送できるのも魅力的だ。しかし、それは競争力を高める決定打ではない。


同様にTPPは経済上のメリットはもたらしても、安全保障を高める事には寄与しない。TPPは、関税を撤廃するだけではなく、企業の流動性、人の流動性も高める動きだから、この辺りは、これからの交渉次第と思われる。

 

交渉の結果、TPPに参加しない場合もあれば、条件を付けて参加する場合もある。そういった交渉にさえ参加しないってのは不利であろうから、まずは交渉する、その結果を検討する、利点がより大きければ参加すればいい。危険だと考えるなら脱退する。

 

この損益をどう判断するかが大問題で、結局、最後は国内問題なのである。国内の企業の要望、政治家の能力、それらが未来を決する。クラウドを使おうが、使うまいが、主導権はその企業の問題であって、クラウドサービス会社の問題ではない。

 

日本がTPP参加に意欲的なのはなぜか=中国人有識者

中国太平洋経済協力全国委員会事務局長の呉正竜氏が「日本がTPP参加に意欲的なのはなぜか」と題する論評を発表した。

 

TPPは米国がアジアに回帰し、アジア太平洋地域の自由貿易区の建設を再始動させ、APECを主導する上で一つの足がかりとなる。

 

米国は日本を引き入れ、雪だるま式にTPPを大きくし、最終的に中国を含むすべてのアジア太平洋諸国のTPPの潜在的な市場規模を大いに引き出すことを考えている。

 

TPPという「自由貿易の急行列車」に乗り込めば、日本企業の不利な競争地位を変え、工場の急速な海外移転の動きを転換し、経済の起死回生の道を切り開くことができる。この時期に参加すれば、具体的な項目の話し合いに直接参加し、自国の利益を保護することができる。

 

ところがこの時期を逃せば、新参者はすでにまとまった項目や案文に従うしかなく、選択の余地はなく、受け身になる。

 

日本がTPPに参加すれば、TPPの吸引力は大幅に増加するだろう。マレーシアがTPP参加を表明したほか、すでにタイ、フィリピン、カナダなども参加意向を示している。

 

日本はドミノ効果を引き起こし、アジア太平洋諸国は参加を競うことになり、アジア太平洋のそのほかの国は関心を高め、対策を練る必要がある。

 

中国は、抜け目ないと感じる。そもそもTPPの最終ターゲットは中国だと思う。その理屈は分からないけれど、アメリカにとっては中国を引きずり込むのが本丸で、その前哨戦として日本の参加があるんじゃないか?

 

だとすれば、中国側の発言も日本は十分に研究すべき。