「監視衛星が打ち上げと思われる熱源を観測確認、ロケット発射されたと思われます。」
「すぐさま、韓国海軍、日本海軍に警報を発令、B作戦を開始せよ。」
B作戦とは、打ち上げをフィリピン沖まで監視しミサイル防衛システムにおける日米韓の参加国合同での演習とするものを言う。
「アメリカより受信、打ち上げと思われる熱源を確認。レーダに反応有。」
「アメリカより受信、打ち上げ後、3分でレーダーに捕捉可能。作戦B開始します。」
50km、60km、70km、ロケットは高度を上げてゆく。
「レーダに捕捉、迎撃ミサイルのテストは順調です。」
「うむ、米韓日でこんな絶好の演習が出来るとは嬉しい限りだ。さ、これから30分、北朝鮮のロケット相手に十分に楽しもうじゃないか。」
「指令!ああああああ。韓国のイージス艦が迎撃ミサイルを発射しました!!」
「何!それでは韓国はA作戦を実行したというのか、それじゃ日本がなんの訓練にもならない!」
「ロケット高度130、140、150、ミサイル命中、迎撃されました・・・」
「アメリカから抗議が来ていますが、どうしますか。」
「ふん、我が国の領空を飛ぶ正体不明機をどうしようがわが国の勝手だ。我々としては、飛び去ってゆくミサイルでは訓練にならぬ。飛び出した瞬間に撃墜できるかを試験しなければ、我が国の防衛は成り立たぬ。とぼける準備をしておけ。」
「日本には悪いが、逼迫しているのは日本より韓国だ、理解してもらおう。」
「おかしいです、予定時刻にも係らず、レーダに反応なし。」
「威嚇か囮の短距離ミサイルだったか?」
「あ、連絡あり、韓国海軍がミサイルを撃ち落とした模様!」
「むむ、きゃつらめーーー」
北朝鮮首脳部
「迎撃されたと言うのか。」
「はい、間違いありません、どういたしますか?」
「韓国も撃ち落とした事を発表しないと思われます、将軍の息子様。」
「うむ、これは打ち上げの失敗である。技術者らに原因の究明を徹底させよ。」
「ロケットは切り離し前に迎撃された、北朝鮮は何も得るものはなかったのだな。」
「はい、彼らは水素と酸素を燃焼させただけです。」
「うむ、韓国海軍には後で抗議するとしても、北朝鮮のロケット開発はこれで停滞するだろう。また多額の軍事費を使って打ち上げをせねばならぬ。これはこれでアメリカにとって失うものはなく、得るものだけの多い結果だな。」
「はい、司令。」
「なんらかの動きがないか引き続き監視を継続せよ。」
日本官邸
「Jアラートをどうします?」
「今更発令してもロケットは海の底ですよ。」
「発令したら後から、意味のない事をしたとか、不安を増幅させただけとか非難されますが。」
「何の危機もないのに警報する必要はあるまい。」
「じゃ急いでマスコミ用の原稿を作りますね。」
「よろしく頼むよ、じゃ、ちょっとコーヒーでも一杯。」
「あ、大臣、韓国メディアがもう報道を始めましたが・・・」
「はやっ!」