セシウム汚染牛流通、原発周辺出荷の全頭検査へ

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原子力発電所の事故によって、放射線量の検査は暫く、30年くらいは行う必要がある、これは仕方がないことだ。

 

いやと言おうが、時に首相を無能扱いしようが、漏れたものはどうしようもない。漏らした事のある人には分かリ易い話だ。

 

食品の原料にビタミンCが記載されているのと同じように、放射性物質がどの程度であるかは検査すべきだし、それを表記するのが望ましい。

 

出来れば全ての食品について。牛を全頭検査するかどうかは物理的な量による。出荷される牛の数にではない、検査する機器、検査者の物理量。

 

野菜、茶、魚、昆布、測定すべき対象はごまんとある。牛だけが全頭である根拠は薄い。

 

体表をガイガーカウンターで測ればどの程度の放射性物質を持っているかが分かればそれが大変にいい事なのだが、どうやら、規制値を超える程度の放射性物質ガイガーカウンターで検出する事は難しいらしい。

 

つまり、バックグランド(自然界にある)と比べて著しく高い値は示さないのである。そこで今学者の中には、上手い方法ねぇかな、と血眼になって研究し始めた人もいるだろう、これで研究費を取って助手を雇ってと言いながら研究している人は信用できる。

 

が、その成果が出るまでは、機器の不足は統計学的な手法で補う。つまり、集合の一部をランダムに検査する。ここに統計を使って安全性を担保する。しかし、これは、集合が一様に平均されていることが重要だと思う。

 

ホットスポットが飛び飛びのまだらにある状況では精度が落ちるだろう。だから、まずは国中の土壌の放射性物質の量を一度調査する。可能なら、北海道から沖縄までやると個人的には思う。

 

それでも、静岡のお茶を見てわかるように、土壌に放射性物質がなくても(注意:ひとつもない、という事はありえない、わずかならどこでもかしこでもある)、お茶が放射性物質を含んでいたように、どこがどう汚染されているかは計測するまで分からない。

 

放射性物質を取り込むには幾つかのパターンがある。

  1. 大気中から降ったものが表面に付着する場合(今回の牛は、これが原因?)
  2. 植物などが呼吸により体内に取り込む場合(お茶はこれなのかな?)
  3. 土壌の放射性物質を根から吸収する場合(牛、魚等もこれに等しい)

 

次に放射性物質が溜まりやすい部位と種がある。
例えば昆布などは沃素を貯め易いと言われているし、他の動植物でも差がある(らしい)。チェルノブイリに30km圏内で研究していた人も、これは貯めにくいタイプの果物だから食べても平気だよ、と言って食べていた。これはNHKの番組での映像だから、たぶん、本当の話しだ。

 

土壌の検査がしっかりできればある程度の判断ができる。放射性物質の濃度の高い地域では、自ずから栽培してはいけない品目が決められる。放射性物質を蓄積しやすいものは栽培しない方が望ましい。

 

次に、回遊性の魚は、どの港で取れていようが、海外から輸入したものもある程度は、検査をするのが望ましい。

 

海洋においては、放射性物質は限りなく無になるくらいに薄めれるから、土壌に降るよりも問題としては小さい。しかし、全体量としてそうであって、海流によっては高い濃度の場所がないとは言い切れない。また、海洋中の土壌に沈下して蓄積する場合もあるだろう。これらが海底にすむ魚貝へ影響なしとは言えない。


静岡のお茶が大量の放射性物質を含んでいたことから、森の木(の葉など)も吸収している可能性がある。これらはそのうち腐葉土となるのだが、この腐葉土が肥料とされないよう注意する必要もあるだろう。

 

また、腐葉土は川から海へ流れるので、放射性物質の山、川、海を通しての循環も注意する必要がある。

 

さて、こうして注意すべき点は多々あるが、これに対して、全ての場所で測定する事はコスト的にも無理だろう。

 

山奥の人も居ない場所は、現在知られている避難地域よりも更に高濃度に放射性物質が降り積もった場所かも知れない。こうした心配はきりがないが、検査する事、全部が無理なら、統計学的に意味のある範囲で検査する事、そしてそこに対して規制値を設ける事、検査施設を地域毎に設ける事(チェルノブイリとかでは学校がそれをやってた)、これがこれからの30年間に必要な事であろうかと思う。


更には年齢別の対策も考える必要がある。

 

年寄りしか住んでない村で10とか20mSv/y程度で避難させてどうする。この前、90歳を超えたおばあさんが自殺していたが、その子や孫も避難してばらばらで寂しかったらしい。孫と書いてあるが90歳のおばあさんのお子さんは60歳、お孫さんでも30歳ではないのか?

 

50歳は微妙としても、70歳の人が避難する必要があるか、は重要な話と思う。もちろん強制ではなく、本人の意志に応じて。癌が発症するのと大往生するのとどっちが先かという問題である。

 

100歳で癌が嫌なら避難する。でも全員がそうではない。もちろん、誰かがそこに住んでいれば誰かがインフラを整備したり、介護や医療で対応する人も必要となる。その人たちに若い人は当てられない。それでも年齢による選択は可能としておく方がいいと思う。

 

研究者によれば、100mSv/yでも平気という人もいるし、避難基準も、50mSv/yでいいという人もいる。否、1mSv/y以下でないと危険という人もいる。


注意すべきは、この『危険』を誰も定義していない事だ。


少なくとも、

  • 交通事故の危険さ
  • タバコの危険さ
  • 中国からの黄砂・大気(化学物質含有)の危険さ
  • 農薬の危険さ
  • アメリカから輸入するオレンジの危険
  • カップラーメンの危険さ
  • 排気ガスの危険
  • 漬物の危険
  • 鬱になりそうな仕事の危険
  • 嫌な上司や客の危険
  • 嫌になる嫁(Or 夫)の危険

生きていれば色々な危機がある。

 

癌にかからない唯一の確実な方法は、今すぐ、そこにあるロープに首をひっかける事だ。だが、それでは本末転倒である。くくるのはあいや、待て。

 

ちゃんと土と海を検査する事、食料品を検査する事、その後に、一度、『危険』とは何かをもう一度定義しなおしてみようじゃないか。

 

それがこの事故の一番根っこにあるものだと思う。

 

福島が放出した放射線物質の量はチェルノブイリの15%と聞く。