ミャンマー軍トップが一転対話呼びかけ「政治的解決が必要」 抵抗勢力の一斉攻撃で対応苦慮か

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普通に小説を読む人であれば、このような対話の呼びかけは、のこのこと来た所を一網打尽に捕まえて即日裁判即射殺と相場が決まっている。オーベルシュタインの策略ではあるまいに、民主派も警戒マックスに決まっている。

 

そもそも軍事クーデターをした時点で、民主主義は敵。おそらく軍幹部は自らの命で償う以外に自らの誠意を証明する手段を持たない筈である。そこで対話で許しを得る戦略は有り得ない。

 

クーデータをした軍幹部は良くて終身刑である。収監され移送途中で射殺されるのは折り込み済みである。だんドーンではあるまいに、行方不明はnext seasonを狙う場合に限る。

 

ミャンマー軍が劣勢なのはとても良い事で、その理由は幾つか求められるが、そのひとつがロシアが戦争を始めた事である。そのため支援が減ったと考えられる。ロシアは自国の戦争にT55まで戦場に投入しようとしており、人員こそ、モスクワ以外の連邦やウクライナから拉致してきた人がまだ数千万単位でいるから困らないが、機械の部分は相当に苦しいらしい。北朝鮮から弾薬を買う立場に落ちぶれたロシア。より強い経済制裁を行い、ロシア国内でのエネルギー不足、流通不足によって何百万単位での餓死凍死を起こす事で戦争の終結を目指すのが西側の戦略だろう。

 

プーチンのせいで世界的な食糧難、資源高騰が起きている。そのため弱い国から入手困難になる。ミャンマーはそれを最初に喰らう国のひとつである。内政でどれだけ軍部が強権を発揮しようと、貿易でものをいうのは通過価値。弱い貨幣では貿易は成り立たない。

 

次に最も重要な中國に対して詐欺事件を仕掛けた事例が挙げられる。共産党の逆鱗に触れた訳である。これが支援を相当減らしたようだ。なぜこうも軍人とは愚かなのか、案外、民主派の人の仕業ではないかと言う説もあると思うが、IT大国である中國をそう簡単に騙せるとも思えない。ドラマなら相当な天才が民主化勢力にいてCIAなど連携しつつやった可能性もあるが、現実は軍部のエリートたちが欲望丸出しでやったと考える方が納得できる。

 

どのような政体であれ、力関係の正しい把握と敬意を失っては外交は成り立たない。ミャンマーはこの点を間違えたようだ。案外、中國の省となって生き残る選択もあるかも知れない。しかし長い歴史で中國に支配された経験はない。しかも多民族で軽視された王国の歴史も長い。ロヒンギャの問題も含めて、ミャンマー民主化を達成した所で、国家建造には新しい国家観が欠かせないと思われる。

 

ロシアが開いた扉により、イスラエルの戦争により、領土的野心、侵略に対して、EU、アメリカは有効な手段を持たない事に世界中が気付いた。経済制裁は強力ではあっても絶対ではない。もし中國圏と手を結べればアメリカを切るという選択が現実的な戦略となってきた。

 

ミャンマーは中國の支援を失った。故に苦しい。国家が苦しくなれば、兵士も養えない。そうなれば兵が逃げ出すのが常套だ。その人たちが民主化勢力に逃げ込めば果たして食わす事ができるのか。もし可能ならその原資はどこから来ているのか。脱走した兵士の中には必ずスパイも紛れ込んでいる筈である。

 

結局内戦は流れ込む資本の量で決まる。支援が途切れない限り戦い続ける事ができる。だれがミャンマー民主化を支援しているのか。日本外務省が軍部と近づきつつやってるなら明石大佐!と思わず叫んでしまう所だ。

 

国内の大部分の経済は軍部が掌握しているから民主派が不利なのである。しかしミャンマーの経済規模はそんなに大きくないからまだ戦い得るのも事実であろう。国境が海ではなく陸路が使えるので支援が可能だ。島国ではこのような戦い方は難しい。

 

 

でも誰が、どの国が。ベトナム戦争時のようにそれぞれの陣営が支援を受けているのだろうか。あまりニュースでは聞かないが。だから対話の呼びかけだけでは、とてもミャンマーの軍事政権が弱体化したとは考えにくい。ではなぜ今の時期に?

 

民主勢力に走らなかった都市部の人たちからの支持さえ軍部政権が失いつつある可能性もあるが、今更な気もする。そこまで国庫が枯渇したのだろうか。ならば、来年にはひとつの結論が得らるのだろう。

 

南米ベネズエラマドゥロ政権はガイアナとの紛争を戦争でけりをつける気でいる。アメリカにさえこれ以上の戦争の面倒は見れないだろう。それ以前にトランプが大統領になれば、必ず支援は終わる。一年後まで続けられるかが、世界中の独裁者たちの絶対的な戦略である。

 

という事は領土問題を抱えている世界中の国が武力に踏み切ろうと準備している。そのXDayはトランプ就任となる。アメリカというダムが決壊して堰を切ったように世界中を戦火がつつむだろう。侵略に躊躇しないなら、クーデター、独裁制への移行など誰もが始める。

 

これは国家観が試されている事件である。経済的に苦労しているから対話を呼びかけた、その程度の問題ではない。クーデターを行った人たちがなぜ自分たちの利益を手離すか。民衆から略奪する気なのである。あと10年は現体制の維持は可能だ。ならば、内部で新しい権力闘争が始まった兆しであるのか。

 

果たして民主主義はこれを受け止められるだろうか。貧困が紛争を加速する。経済が戦争を駆逐する日が来るだろうか。