代官山の美容師に聞く、「苦手な人とでもスムーズに会話をする方法」

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「話題を振るとき、相手が答えやすいように、『インドアとアウトドアならどっち派ですか?』など答えが2択になるような質問をするとよりスムーズですよ。」

 

テストの問題で、選択式と記述式とどっちが嫌?と聞くのと同じ。選択式の方が楽な気がする。少なくともその中に答えがあるのが前提だから。

 

テストを解く時でも選択式を全部埋めてから記述式に着手するのが普通だし。

 

最初に漢字の読み書き問題、これが他愛ない天気とか芸能ニュースの話と同じ。誰とでも共通して行える話題、common sense。特にタブーもなければ好き嫌いもない忠誠的話題。


それから、選択式の問題。ここで嗜好が少し入ってくる。で最後の記述式が、フリーフォーマットでに特に制限はない。それでも政治と宗教は控えた方が安全だろう。

 

選択式は、選ぶ方が集中しやすい。発話する側がある程度の用意をするので準備が大変だが、その分だけ流れをコントロールできるメリットがある。

 

問題文でも最初に選択式が多いのは、そこで導入して方向を決めている。それぞれの問題はフローに従って最後の問題まで導くように作られている。


何より、選択式は無回答がない。どれかを選ぼうとする。ない場合でもないというどれでもないという回答が得られる。そこでまた選択肢を提供できる余地が生まれる。

 

さらに時間の制約を付けるように、直ぐに答えを求める感じを出すと、相手も直感的に回答するので、本音が入りやすくなる。選択式の質問こそが、実は、こうして相手を追い込む罠にし易いという訳である。

 

人間には次の心理が根底にある。乃ち「肯定は否定よりも負担が少ない。」この心理は選択式でも働く。それでもYES/NOなら答えやすくなる。相手が傷つくのは嫌だなという負担を小さくしてくれるからだ。①YES, ②Noで聞かれたら、②と答えるのは楽な筈である。

 

更に「一度言った意見を取り消さない。」という心理がある。これも選択式ならば、どうという事はない。例え矛盾する答えでも①なら心理的負担は少ない筈だ。選択式の問題は何故か、前との繋がりがなく、単独という感じが強いからだ。


常に答えに「はい」と言い「いいえ」を言わないクセがつく。この「はい」は肯定の「はい」ではなく、相手の意見を聞きました、応答の「はい」である。「はい、ではその件にお答えします。」の「はい」である。

 

「これを受け入れてくれますか?」
「はい、その件は拒否します。」
「これをやってくれませんか」
「はい、答えはNOです。」

 

これは
「いいえ、その件は拒否します。」
「いいえ、それはやりません。」

よりも言いやすいと思われる。

 

ただ「はい」を聞いて勘違いするおっちょこちょいもいるので確認は必要である。それでも滑走路に入るパイロットも後を絶たないので注意は必要である。

 

これは左折だけで目的地に付く様に肯定だけで目的地に行くような感じもする。肯定だけなら返事としては気持ちがいい。その上で、否定をするテクニックはあるか。こういう言語世界で最も実践を積んでいるのはバーやバブなどで会話主体で仕事をしている人たちになるだろう。または中國外務省の広報官。いなすという技に関しては相当の経験値の筈である。

 

例えば
「明日、どっかにいかない?」
「いやです」

よりも
「OK、残業がなかったらね」

 

『条件付き肯定』である。心理的には肯定しているのに、物理的に難しいというケースで自分の心理を騙す事。もちろん残業は100%ある。ないは有り得ない。なくても必ず作る。

 

これを逆手に取る方法もある。『否定の後の肯定』。これは否定は心理的に罪悪感を持つから、否定が続く状況は心にダメージを負わせる。だから非現実的な事で否定を引き出し続け、最後の現実性のある所で、肯定を引き出す。

 

実現しない事が続いても、それでも心理は悪いなという気持ちが蓄積してゆく。その分だけ、肯定に転じやすくなる。高低差を高くするように位置エネルギーを高くしておくと言う訳である。

 

絶対に無理な要求を出してNOを言わせ後に普通なら無理な条件を付きつける。無理なお願いする時の有名な心理学的交渉術Door in the faceである。

 

こういう状況に陥らないようにするには「いいえ」以外の受け答えを多用するのがよい。そこでは一回否定した事を忘れるように話しを持ち込む事である。その過程で、全く関係ない事でも肯定を入れ込めれればリセットである。

 

肯定、否定よりも許可する立場が強い。しかも、許可にはその立場上、罪悪感を感じる必要がない。交渉は普通はYESを言わせるまでのものだが、実はYESと言ってからの条件に詰めが本当の勝負になる。そこでお流れになるケーズなどザラである、と思っている人は相当に手ごわい相手だ。

 

肯定を何度も引き出すとは許可をもらうと同じ意味である。もし否定で罪悪感を感じているのならそれは無条件だからである。

 

否定などない。肯定と許可の攻めぎ合いである。条件の折り合いがつかないのに罪悪感を感じる必要はない。

 

よって交渉する側は無条件のYESを、否定する側は条件付きのYESを返す事で進む。この条件を満たそうと相手はコストを掛ける訳で、ここでは無条件のNOを返すのが最も心理的負担が大きい。なぜなら相手との条件交渉まで否定しているからだ。

 

よって無条件のNOを言う時は、罪悪感を持たない工夫が必要という事である。条件交渉にも応じない理由、それが自分でも嫌にならないような、を明確にする必要がある。

 

金を持ってなさそう、生理的に無理、見た目が嫌いなどは自分を嫌な人間へと貶める事になるから望ましくない。どんな理由でも自分を騙せる人間的な断る理由を見つける事だ。それがひとつでも見つかったならば、それは一生使える財産である。

 

病気、が一番いいんじゃないかな。