ロシア軍参謀本部の車に放火、女性を拘束 ウクライナ侵攻に反対か

www.nagoyatv.com

 

車へ放火した時に、誰かが乗っていたのかどうかは朝日新聞の記事では分からない。また燃やすにしろ、焦げたくらいなのか、爆発するくらい燃えたのかも分からない。それでも確かな事は、この火をつけた女性は相当の覚悟はあったであろうという事。

 

そういう決断をさせたものが、果たして半年の戦争で精神的な限界が来たのか、それとも身の上に余命僅かとでもなったのか。そういう行動の切っ掛けがあったと考えるのが妥当であろう。

 

それでも多くのプーチンを支持するロシア人の中にこのような行動をする人々がいた事は救いだ。

 

確かに深淵な計画性があったというよりも突発的な行動に見える。それでも何かをせずにはいられなかった。もしかしたら親戚や友人のウクライナの人が戦場で死亡したのかもしれない。いや友人のロシア人が戦死したとしても話は同じであろう。

 

ロシアがクリミア半島を奪ったとき世界の列強はロシアへの制裁を開始した。この時ほどプーチンゴルバチョフの事を恨んだ事はあるまい。あの馬鹿がソビエト解体をした時にクリミア半島ウクライナに呉れてやりやがった。最初からロシア領としておけば現状はそうとう違ったものになっていた。

 

そう考えればゴルバチョフがこの時期に亡くなったのは何か象徴的である。ペレストロイカグラスノスチ。自由解放と情報公開を目指す時にアメリカを意識しなかったとは思えない。明らかにソビエトアメリカ的な国家に作り替えようとしたように思える。

 

しかしアメリカの合衆国にソビエト連邦はなれなかった。多くの国が連邦から離脱する道を選んだ。その背景にあるのは何か。ソビエトにはアメリカに匹敵する理念がなかった。国民がひとつにまとめるための理想などなかった。だから王の替わりとなる者を必要とした。

 

ソビエトが解体された時、クリミア半島ウクライナのものとなった。それを奪うだけならまだ経済制裁程度で済んだ。大義名分への理解も得られない訳ではなかった。しかしロシアがウクライナ本土に侵入した以上、ロシアの全ての大義名分は失われたと考えて良い。

 

頑強なソビエト連邦の資産を持つロシアという国家は、それを使い果たす前、ロシアの亡霊が消えてしまうまで夢を諦める事はできまい。その夢の為にプーチンの血と命がいる、そういう戦争となるのだろう。

 

たったひとりの反戦運動である。この65歳の女性はソビエト時代も知っている。それでも戦争には反対という立場を力で表明した。その中にロシア的なものを見出す。

 

だが、彼女が無事でいられると考える理由が見つからない。なにせロシア人である。どのような残虐な事も平気でする連中である。たとえ自国民であっても何をするにも躊躇しない。ロシア人に良心があると考える方がどうかしている。

 

そうやって愛国を恐怖で形作ってきたのがソビエト連邦なのである。警察も軍も政治家もその方法しか知らないのである。それがスターリンがロシアに打ち込んだ杭であった。それをずうっと踏襲してきた。ロシアの再生のためにはスターリンの杭を抜くしかない。銅像を打ち倒す程度では足りない。

 

愛国と恐怖を切り離すためにはロシア人は血塗られた道を行くしかない。もしこの女性が惨殺されるような事があったならば、プーチンは自分の死刑執行書に自らサインしたに等しい。逃れられない運命の歯車が動きだす。

 

最善はロシア政府も軍も警察も議員も富裕層も逮捕され裁判にかけられるのが望ましい。プーチン無期懲役で収容され人々から忘れられるのが望ましい。しかし、そういう道はなくなるかも知れない。

 

ゲシュタポの逃亡者たちが死ぬまでイスラエル諜報機関に追跡されたように今のロシアの高官たちも死ぬまで逃げきれないのである。

 

反対する人々を殺してゆく度にプーチンの目の前にある引き金が動きつつある。彼本人が気づく暇もなく彼の脳髄が壁にぶちまけられる未来が待っている。壁に張り付いた脳細胞はどんな電気信号を送り続けるのだろう。

 

いずれにしろロシアの人々の前にはその後の再建が待っているはずである。なぜプーチンを生み出したのか。そうまでして求めていたソビエトノスタルジアとは何なのか。スターリンがロシアの地に打ち込んだ杭の正体は何か。なぜ共産主義は力を失ったロシア帝国をターゲットとしたのか。なぜロシアの地で共産主義国家が成立したのか。なぜ人々はヨーロッパ的な民主主義よりも共産主義を支持したのか。その根底にロシア帝国が持っていたヨーロッパへの郷愁、劣等感があったのではないか。なぜウクライナとロシアはこれほど似た歴史を持ちながらもまったく異なる文化を育んだのか。

 

果たしてロシアとは何か。ウクライナとは何か。民主主義が民族に独立を強制する。ロシアは民主主義を否定するからウクライナの独立を危険と感じた。ウクライナは民主主義を目指すから独立は必定の道だった。

 

果たしてロシアはウクライナの夢を見るか。ウクライナはロシアの夢を見るか。