習近平国家主席がロシア訪問でプーチン大統領と対談か 中露関係の行方は

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中国が公開している統計情報は、恐らく加工されているので信頼はできない。しかし、現在の社会情勢の中で隠しきる事はできまいし、優れた経済学者や経営者なら港のちょっとした風景や観光客の姿を見てさえ、概算くらいはするものである。

 

ケネディの父親は靴磨きの少年から景気の動向を知る。あらゆるデータは連動して強いものもあれば弱いものもある。すぐに反応するものもあれば、ゆっくりと連動するものもある。関係しているように見えて偶然のものもある。

 

データを読み込む人には見えている事が、表面的なニュースからだけでは分からない事がある。これは別にそういうものだから当然である。デバッグとはそういうちょっとした情報から背景を想像する行為だから、本質的には優れたシャーロックホームズをお手本とするのである。エルキュールポアロでも構わないが。

 

習近平の訪露について何故この時期にという疑問はある。しかし、三期目を開始する中で中國は王朝になる筈。禅譲であれ世襲であれ、権力の引継ぎはこれまでとは違う方法で執り行われる。

 

多くの王国で後継問題こそが最重要な課題であった。ローエングラム王朝でさえその例外ではなかったではないか。長く続く国家はそれがわりかし上手くいったと考えられるのである。

 

古くはローマ皇帝は殺されてばかりである。皇帝は死ぬ、ただ元老院は残る。つまり、次の王を生み出す機関さえ健全であれば国は滅びないという事である。王など飾りです、王になりたい奴にはそれが分からないんです。

 

中國の王朝の中にも長く続いたものと短命のものがある。漢、唐、宋、明、清は数百年に渡り続いた国家で、その各時代に面白い話が満載なのだろうが、詳細は知らない。中國は流石にアジアの地域で最も巨大で先進的な国家であり続けただけの事がある。

 

この地域では早くから学問が発達した。のみならず学芸も深く、雪舟が見るべきもなしとか言っているのも話半分に聞いておく方が良さそうだと思う。確実に人口が増える方向で発展し、統治システム(官僚制度)はよく順次カスタマイズし続けてきた。

 

最後は清が可哀そうな末期を迎えたため明治期の日本人も馬鹿にしくさったが、ちょっと時代が悪かったというべきだ。その後の日本の歴史も相当に馬鹿にしていい。あの時代のアジアはみな試行錯誤の中で躓き傷ついてきたのである。

 

中國の皇帝にも統治の理想というものがあって、中國という国はそれで治められてきた。そして中国共産党もその流れから外れているとは思えない。一党支配とはいうが、あれは科挙を今風に書き換えただけのものだろう。

 

しかし中国の人が一斉に蜂起したパンデミック後期を見ても、民衆の燃え上がる炎には政府も譲歩をするのにやぶさかではない。つまり民主主義以外ならばである。その点では中国共産党は極めて統治理念の高く臨機応変な政府だと言って良いように思われる。

 

統治を司る以上、どの地域のどの国のどの時代であってもその正当性の主張が必要であり、中國ではそれが易姓革命である。日本なら天皇からの承認となろう。アメリカは憲法である。インカ帝国だろうが、ノク文化であろうが、国家がある以上、必ず正当性を持ち、それが最初は神話という形を取ったと思われるが、その純粋な結晶として宗教で洗練される。

 

あらゆる国家は神話/宗教的根拠に統べられている。これは中国共産党も例外ではない。マルクスという神話は便利であるから今も掲げるが、それは単にこれを取り下げてもやる事は何も変わらないからだろう。

 

共産主義という理想の資本主義(マルクス共産主義は資本主義の次のステージと考えていた)は、実の所、競争力のある企業活動によって裏付けらている。企業活動はまだ人間を必要とするため学力が必要となる。つまり科学である。

 

アメリカは大量の移民と亡命者を受け入れる事でこれを促進させた。ソビエトは熾烈な競争と恐怖の中でこれを実現した。ナチス混乱の中で世界を牽引した第一世代の後継者たちはアメリカがソビエトのそれを圧倒した。これは、優秀な人材を如何に発掘するかという点で、中間層の存在がほぼ絶対の必要条件だったと示唆している。

 

では現在の中国とアメリカの対立はどうか。流動的に人材が活動しているのは中国の方に見える。しかしアメリカだって負けているようには見えない。つまり拮抗している。という事は次の後継世代で決着がつくという意味になる。

 

国家が分断し中間層が消滅しつつあるアメリカと、中央政府がますます人民の思想を統制しようとする中国と。純粋に観察するならどちらも没落するはずである。ヨーロッパはデモで毎年忙しい。南アメリカは麻薬にとって代わる産業が生まれそういなる。アフリカも発展著しいが部族問題、歴史の分断の影響もあり、玉石混淆、乗数的な成長かどうか見極めにくい。

 

次世代が勃興するのはどの地域か?どのような場所であれ、経済的に強い事、強いとは供給する能力を有する事、そして消費する能力を有する事が必要だ。世界の中心となる国家は必ず世界の中心となる市場を形成する。これは経済的な中心を意味する。

 

次に宗教や文化を超えて科学が優先される必要がある。現代文明の維持には科学が欠かせない。あらゆる生産に欠かせない。それを生み出す教育は必須だし、そのための施設も必要だ。これは科学の中心を意味する。

 

また多くの国と取引する必要がある事から、外交的、貿易的に多くの国と良好な関係を持つ事が必要だろう。可能なら理想的な統治の理念を持つのが望ましい。しかし同時に強く相手を批判しない事、理解しあうための協力の姿勢も必要となる。これはコミュニティの中心と言える。

 

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「善隣友好、協力・ウィンウィン」「世界の枠組みと人類の前途と運命」「多国間主義」「多極化した世界構造を構築」という演説からも中國はそれを意識しているように見える。

 

だが、これらの言葉には少しの警戒を要する。何故なら中華思想を一切否定しない姿が見え隠れする気がするから。言葉ひとつどれを取っても明らかに中國の損する部分はない。しかし、相手側は損を強いられても言い返せないる。発話者と受話者との間が等号で結ばれていない。

 

ま、そんなものは大英帝国以来の国際的な伝統であるから、別段中國だけを警戒せよという話ではない。警戒という点ではアメリカだって十分に警戒しておく必要がある。彼らだって民主主義の皮を被った強盗には違いないのである。

 

当然、それはロシアに対しても同様であるから、習近平が今回プーチンを訪れたその最大の理由は自分の邪魔をしたら許さないという事を伝えにいったと考える。しかしプーチンを恫喝してどうのこうとはいかない。腐っても核保有国である。金正恩習近平の傀儡なのか、それとも制御不能に近い暴走状態にあるのかには専門家の意見がいる。

 

核を前にすれば中國と言えどもそう簡単ではない。アメリカでさえ躊躇する。しかし、逆に言えば、中國が緩衝役となっているから暴発を防げているともいえる。または限定的に抑え込める可能性がある。しかし、そんな中國でもプーチンクリミア半島を放棄せよとは言えないだろう。またそんな気はないかも知れないし。

 

すると何が目的か?中國はウクライナの勝敗などどうでもいいと思っている筈である。戦争でないなら何か?となると貿易の交渉が最有力になる。小麦と資源である。

 

パンデミックの終わりが近づいている。その後はアメリカと中國で二分される。アメリカの貿易措置に対抗するにはロシアの資源が欲しい。しかも今なら他に買い手がいない。これなら相当に買い叩ける。ほとんどタダ同然に欲しいものが手に入る。

 

どうせプーチンはもう先は長くない。長くてもたかが終身刑である。その後のロシアを牛耳るには今から手を打っておく。ロシアのあらゆる利権は中國のものだ、アメリカなどにびた一文もゆずる気はない。当然だがロシア人のものでもない。こんな戦争をする民族にそんな権利などない。

 

それが「歴史の正しい側に立つ」と言える限り、国連ほど使い勝手の便利なものもない。実質、何の力もありはしない。新しい国際秩序とはそういう意味だろう。

 

中國は、あと少し、もう少し、と呟いているに違いない。その声が聞こえてくる。ロシアの事、アメリカの事、台湾の事、インドの事、中東の事、アフリカの事、虎視眈々とは中國の古い言葉ではなかったか。

 

確かに民主主義を手離すなら中國はそう悪い統治思想の国ではないと思う。自由も共産党さえ批判さえしなければわりかしあるのだろう。へんな宗教の偏見も少ない。既にあらゆる宗教に国家を転覆する力はない。

 

よって中国共産党を打ち倒すものは民主主義しかない。それを中國の人民が支持するかどうか。それを決めるのは自由の価値観という事になる。

 

ではその結果として共産党習近平と民主主義のトランプとどちらが周辺国家としては望ましいかという話に極まる。

 

ここにAIというファクターXまでが紛れ込んでくるのである。明日は明日のAIに聞いてくれ。