「東京脱出」SNS拡散中 新たなクラスター生むおそれ

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早い人は、WFH が実施された日から、リモート授業に切り替わると決まった日から、都市圏を脱出しているだろう。決して非難されるような動きではない。経済的停滞がありアルバイトさえ苦労するなら、地方に実家がある学生や社会人が生活基盤を外に移すのは決して間違っていない。家賃は払うとしても食費などを倹約する意味でも有力な選択肢である。

 

緊急事態宣言によって生活の自由が奪われるなら猶更であろう。お金のある人、他県に頼れる場所がある人は、帰るという選択は真っ先に浮かぶに決まっている。

 

もちろん、自分の動きがウィルスを拡大させる可能性は大いにある。実家に年老いた人がいるならば絶対に帰らない方がいい。だが、感染していない自信がある人ならば、無症状感染者の可能性を考慮しても、都市圏脱出をするだろう。当然だが、風邪を引いていても、または引いているからこそ脱出する人がいても何も不思議はない。頼る場所が他にないのだもの。

 

誰かを思って行動を制限するのは、当然だが、見返りがある場合に限られる。情けは人のためならずと諺にも言う。所詮は自分の利益である。また、情けをかけても状況が好転しない場合は確かにある。

 

ゲーム理論について詳しくないが、自分が不利益を被る事が確定しているならば、他人を巻き添えにしようとするのは、よくある事件だと思う。今の状況なら一番に考慮しておくべき事柄だろう。

 

だから、呼びかけしかできないなら、専門家といっても専門馬鹿の類であって、地方に拡散する動きが出る事は明らかであって、かつ、このパンデミックが最初は数人の感染者から始まり、たった半年で世界中を席捲している事を思えば、地方脱出をするこの政策がどのような状況を生むかは織り込み済みでなければならない。

 

「呼びかけ」なんて今さらであるし、それで誰かを説得できるとは考えられない。もしそう思うなら、知能に欠陥がある。病気の事は知っていても、人間というものに無知であるという事になる。

 

ほとんど大部分、99.9%の人が関東に残っても一千万のうちの一万人(新幹線10本分)は地方に出てゆく。それだけでも感染者が増加する理由となろう。現実的には99.99%(脱出千人:新幹線一編成分)が残っても厳しいか。

 

だが、それを強制する法律も基盤となる制度もこの国にはない。当然だが、持っていても、大した事はできない。それが有効に運用できるくらいなら、先の戦争で負ける事はなかった(勝てるという意味ではない)。

 

馬鹿に刃物となる可能性が高いからこの国は権力、行政に対して強い拘束を強いてきたのだし、たかが疫病程度でそれをないがしろにする訳にはいかない。もしそれが可能であれば、確かに移動の禁止はできる。それはベルリンの壁を立てるようなもので、県境を全て封鎖する。それで望ましい結果になると考える者もいるだろうが、それは物を知らなさすぎるという話である。

 

国は決して経済的な援助をしない。だから市民が自分の貯蓄だけを頼りに首都封鎖を耐えないといけない。貯金が尽きればそこで終わり。善良な人は消費者金融に走るだろうが、未だに利率を下げたという話は聞かない。国はこの状況でも、経済的な対策は施していないという意味である。

 

貯蓄が限界を超えたらどうなるか、一部の人はそのまま体力が弱って餓死する道に進むかもしれない。一部の善良な人は軽い刑罰を起こして刑務所に入る道を選ぶかも知れない。しかし、大部分の人は強盗に走るだろう。

 

八割の人は感染しても軽症なのである。二週間も経てば元気に復活するのである。そこで仕事もなく、貯金もなければできる事は限られている。しかもそれが一千万単位の人口の地で起きようとしている。

 

だから、ヨーロッパも中東も、アメリカも個人への経済的援助を惜しまないのである。行政府からすれば、既に恐るべきはコロナ風邪ではない。パニックとそれに伴う市民の暴動である。

 

最初はイオンなどのスーパーが襲撃されるだろう。一人ではできなくても100人規模の群衆になれば現実味を帯びる。そしてインターネットはその程度の人間を秘密裡に集める事が可能とした。

 

だからインターネットも止めてしまえ、外出禁止令を強いてしまえ、お前たちはただ餓死せよ、しからずんば銃殺である、そのような政府に唯々諾々と市民が従うはずがない。死を賭しての暴動が起きるだけである。

 

そして銃弾の数をデモする人数が上回れば警察だって手を引く。すると政府官邸を暴徒が囲む。塀をよじ登る人が登場するのに半日もいらない。

 

そんな事になるくらいなら、地方がパンデミックに陥る方がまだましではないか、地方が医療崩壊して死人がばたばた出る方がましではないか。しかし、地方でも暴動が起きるだろう。1918年米騒動は過去の話ではなふのである。奇しくも、1918と2020、同じパンデミックの年となった。

 

既に貯金が底をつき始めている人がいるはずである。緊急事態宣言はもって二週間と思われる。一か月など、今の状況では絶対に無理。その前に人々は動き始める。

 

山中伸弥教授は若者の致死率を乗り物の死亡事故に例えた。20~30代の致死率は0.2%、500人に1人とする。乗り物に例えるなら500回に1回は死ぬ飛行機である。それに乗りますか?と聞かれたたら普通は乗らないに決まっている。だが、今は異常時である。乗らなければ、餓死する、犯罪者になるしかないなら、そりゃ乗るに決まっている。たった数%の可能性にかけてもガンの臨床試験に参加する人は後を絶たないはずだ。キノコや漢方を選択する人もいる。

 

そういう選択を、日本の専門家は、すべて市民の善意だけに頼ろうとしている。というか頼り切っている。そこにあるのは道徳心だけである。何の見返しもない。そりゃ、いくら何でも孔子過ぎませんか、という話である。韓非子だって、そりゃ無理だと言うに決まっている。荘子なら夢の中でウィルスになるだろうか。老子なら満ち足りるとは何かという事に思い耽るだろうか。

 

政府の起死回生の手段はアビガン錠と思われる。これの治験が6末に完了するとなれば、そこがひとつの節目となるだろう。これで均衡が取れるようになるはずである。

 

だが、この薬は奇形児を生む可能性が強いため、慎重に扱う必要があるが、恐らく、国内でさえそういう悲劇が出る可能性がある。世界においてもどれほどの二次被害が出るかは分からない。しかしそれしかオプションがない。

 

そして対処療法の治療を確立した上でワクチンの登場を待つ、それが世界中の全員が考えている道筋のはずで、今は有効な薬もないから、人工呼吸器を用意しているわけである。

 

医療崩壊を起こさずに数カ月が経てば何とかなる。ビルゲイツは私財をなげうって未承認の7つのワクチン製造を開始したそうである。そのうちの幾つかが有望となれば、残りは捨てても構わないという考えは、Microsoftを世界一の企業にのし上げた合理的戦術の権化のように見える。今年のノーベル平和賞のひとりはこれで決まりではないか。いや、今年に限っては全ての人、人類そのものに対してか…

 

政府の最初の目標期間が6月までの三カ月90日分。この間を乗り切るために、貯蓄がある人にはそれで生活を維持する、自粛を呼びかけ、医療崩壊を防ぎ、経済的崩落を防ぐために、銀行への支払いや手形に政府保証の上で猶予を与える、などの施策が打たれるだろう。

 

だが、今の官僚は忖度だけで出世した連中だから期待は薄いかも知れない。それでもアイランズ(銀英伝)の例もあるから断言はしない。

 

それでも効果なしという結果が出たらどうなるのか。その検討は秘密裡にでも既に存在していなければならないはずである。

 

いずれにせよ、状況がきな臭くなってきた。実効性のない緊急事態宣言は、悪影響の方が大きいのではないかと思う。しかも、これは周囲の空気に乗せられて行われた感じが強く、小池都知事と安倍首相の丁々発止のように見えて仕方がない。

 

それで何が変わるかを説明できる人は一人もいないと思う。これは経済を壊滅させる以外の何か残るものがあるだろうか。暴動が起きる時間を早くする以外に何が効力があるだろうか、裏で何かを画策しているんじゃないか、暴動を鎮圧するついでにクーデターを起こして憲法停止でもするんじゃないか、と疑念を抱いてしまうのは仕方がないと思う。

 

感染者の増加は、二週間前の出来事が現在観測されているに過ぎない。今、封鎖しても、10日程度のタイムラグがある。すると実体は10万人を超えていても不思議はない。現実的には1万から4万程度ではないか。

 

だから専門家たちは遅すぎたというだろう。だが、遅すぎたと言っても、完全増加を防ぐ訳ではない。なだらかにするだけである。なだらかになれば三カ月は持つだろうという考えだが、早ければ早いほど、貯蓄が底をつくのも早いのである。そうなれば押さえつける事はもう不可能だ。

 

ニューヨークでは死亡者がピークを迎えたそうである。これは新しい感染者が発生しなくなったのせいなのか。それとも死に至る病な人が亡くなり尽くしただけなのか。これを理解するデータがない。だが、世界的に隔離政策が功を奏したか感染者の山はどこでも少しなだらかになりつつある。これはひとつのエピローグであり、新章のプロローグに過ぎまい。

 

このような時だからこそ暗躍している連中がいる。状況が好転した時に、最初の一手を有利とするために今から手を打とうとしている人がいる。その最右力は中国であろう。もちろん、それが外交の常であって、並行して並列の複数の計画を進められない国家は黙っていればいいのである。コロナパンデミックを僥倖と語る人は何人もいる。この時間稼ぎで間に合うと考えている人も何人もいるはずだ。

 

そういう世界で日本人の善意だけに頼る政策は厳しいのではないか。特に市民をさんざん食い物にしてきた後だけにモラルハザードは昔よりもとても近い。日本人の道徳が、単なる様子見、状況がはっきりするまでの見の姿勢に過ぎない可能性は捨てきれない。そして311よりも強く状況は悪化している。日本人の道徳を勘違いして舵取りを進めたら間違える可能性がある。それを危惧する。

 

「見せましょう、野球の底力を」と宣言した日には希望があった。今年の開幕日はまだ決まっていない。

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さあ、影におびえないようにしないと。